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春風のぬくもり、ウィメンズマラソンで伝えたい 名古屋の介護福祉士

2022年3月12日 16時00分 (3月12日 17時15分更新)
名古屋ウィメンズマラソンに向け、ランニングする森智美さん=名古屋市守山区で(木戸佑撮影)

名古屋ウィメンズマラソンに向け、ランニングする森智美さん=名古屋市守山区で(木戸佑撮影)

 十三日開催の名古屋ウィメンズマラソン(日本陸上競技連盟、中日新聞社主催)には、新型コロナウイルスの感染拡大と向き合う人たちも出場する。名古屋市守山区の介護福祉士、森智美さん(53)。勤務する介護施設で入所者の外出や面会の制限が続く中、「入所者が外に出られない分、走って感じた春の暖かい風や街並みを伝えられたら」と意気込む。 (斉藤和音)
 森さんの施設では百人ほどのお年寄りらが生活し、森さんは十人のケアを担当。入浴やトイレ、着替えなどの日常生活やリハビリのサポートに当たっている。
 新型コロナが広がってからは、常に感染リスクを気にかける緊張の日々が続く。二月には、別の階の入所者や職員の感染が確認された。階をまたぐ移動が制限され、二週間にわたって入浴できなくなった入所者もいる。認知症の人は自由に歩き回れず、普段の落ち着きがなくなった。
 入所者はこの二年間、外に出られず、季節を感じられるのは「屋上で風に当たる時くらい」。アクリル板越しに家族と五分間の面会が許された時期もあったが、今はタブレット端末の画面越しだけ。家族に会えず、落ち込んで口数が少なくなった人も多い。
 外に出られない入所者は、どんな気持ちでいるんだろう。自分を実の娘のように接してくれるお年寄りにできることは何か。趣味だったランニングの時間に考えるようになった。勤務を終えた夜に一人で自宅周辺を三十分〜一時間ほど走ると、季節の移り変わりや街の変化を肌で感じる。入所者に代わって42・195キロを駆けて、自分が見たもの、気が付いたことを知らせようと決めた。
 ウィメンズマラソンにはこれまで五回出場した。ただ、コロナ禍でこの二年は一定期間内に独自に走る「オンライン参加」で、コースを走るのは三年ぶり。普段はマスクをしたままランニングをするなど感染対策には人一倍気を使っているだけに、大会前に出場者全員がPCR検査を受けることも参加を後押しした。
 タイムは気にせずに完走するのが目標。「『走ってきたよ』と良い報告をして入所者を元気づけたい」。めっきり暖かくなった名古屋の街で、春風を切って走る喜びを伝えるつもりだ。
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