増税まで10日 還元事業に悩む中小業者

2019年9月21日 02時00分 (5月27日 05時26分更新)

専用端末の使い方を説明するキャッシュレス決済事業者(右)=浜松市中区の浜松商工会議所で

 消費税率引き上げに伴って始まるキャッシュレス決済のポイント還元事業に関するセミナーが二十日、浜松市中区の浜松商工会議所であった。来月一日の事業開始まで一週間余り。九カ月限定の還元事業に効果があるのか半信半疑の事業者もいれば、特典のある機会に決済手段を増やして中長期の集客につなげようと期待する事業者もあり、還元事業に対する中小企業のさまざまな思いが垣間見えた。
 「今まで獲得できていなかった客層が来てくれた」
 「素早く会計ができるので丁寧な接客につながる」
 「お客さまにも喜ばれると思うし、売り上げも上がっていくんじゃないかな」
 還元事業の事務局「キャッシュレス推進協議会」(東京)が会場で紹介したPR動画。食料品店の経営者やタクシー会社の従業員が登場し、クレジットカードやQRコードを使ったキャッシュレス決済の利点を口々に語った。「決済事業者に申請すれば、複雑な手続きは必要ありません」-。事業開始を目前に控えてか、担当者の説明も自然と早口になった。
 一方、出席した地元の中小企業関係者約三十人の中から「今から申請してどれくらいで『GO』が出るのか」との質問が飛ぶと、担当者は「数週間から数カ月という決済事業者もあるようだ」と回答。来月一日に間に合わせるのが困難な状況を知り、出席者は一様に硬い表情になった。
 実家が中華料理店で、参考にするため出席した男性(34)は「キャッシュレスは売り上げの入金までに時間がかかり、仕入れ代の確保が厳しくなる」と懸念し、「限られた期間のポイント還元を目当てに来店者が増えるのか疑問。今後も現金決済だけにすると思う」と漏らした。
 会場には、クレジットや「ペイペイ」「d払い」といったQRコード決済の事業者もブースを列べ、端末の仕組みや情報管理の安全性を実演を交えてアピールした。自動車販売業の「ブー・ブー・ネット」(浜松市北区)の野末美樹代表は「車検代や修理代は大金。QRコード決済で気軽に払ってもらえるのかと思うと迷うが、選択肢を増やせばイメージ向上につながるので、導入を検討したい」と語った。
 LPガスを販売する東洋ガス(中区)の関係者は、既に申請しているクレジット決済でのポイント還元に加え、QRコード決済に関する情報収集のために出席した。金融機関の口座からの直接引き落としや現金払いの顧客が今も多いといい、「ポイント還元の恩恵を受けてもらうためにも、期間中にキャッシュレス決済への移行を呼び掛けていく必要がある」と見通した。
(久下悠一郎)

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