本文へ移動

ボラ、密になりすぎ 中区の排水路に大群

2022年3月6日 05時00分 (3月6日 05時02分更新)
カルガモに追われ逃げるボラ=浜松市中区で

カルガモに追われ逃げるボラ=浜松市中区で

  • カルガモに追われ逃げるボラ=浜松市中区で
  • ボラの大群が現れた鴨江排水路=浜松市中区で
  • 水面に顔を出すボラ=浜松市中区で
 浜松市中区の鴨江排水路で、黒い魚の大群が水面を覆い尽くし、住民たちを驚かせている。正体は、全国の海辺や河川に生息する「ボラ」。なぜ街中の狭い排水に集まったのか。専門家は「餌を求めてきたのでは」と指摘する。 (岸友里)
 現場は、住宅街の一角を流れる排水路。三日に確認したところ、長さ約百五十メートルの帯状に広がった大群は、三メートル余りの川幅いっぱいを埋め尽くしている箇所もあった。体長は二〇〜三〇センチ。おおむね流れに逆らうように上流を向いて滞留しているが、時折、カルガモが追い回すと、跳ね回って逃げ白い腹部が見えた。
 異様な光景に、子どもや家族連れが足を止めて排水路をのぞき込んでいた。近隣住民によると、遅くとも二月半ばには群れがいたといい、数年前にも大群で現れ話題になった。
 近くの鈴木有子さん(72)は「たまたま散歩中にのぞいたら、びっくり仰天。ちょっと気持ち悪い」と話す。ボラの観察が日課になりつつあるという女性(82)は「一匹が向きを変えると、みんな付いていくのが不思議。酸素不足になりそうで、『密になり過ぎですよ』と言いたい」と心配していた。
 鴨江排水路を管理する同市南土木整備事務所によると、主に雨水が流れており、生活排水や工業廃水は混ざっていない。担当者は「堀留川、新川を経て海とつながっているので、ボラも上りやすいのかも」と話す。
 魚の生態に詳しい浜名湖体験学習施設「ウォット」(西区)の飼育員工藤隆馬さん(27)は「排水には栄養が流れてくるため、餌となるプランクトンを求めてやってきたのではないか」と推測する。雑食性で、微生物や藻、エビやカニと何でも食べ、食パンを餌にしても釣れるという。酸素不足については、「水面で口をパクパクさせて餌と酸素を摂取しているので酸欠の恐れはないが、これだけ集まっていると他の生き物は酸欠の可能性がある」と指摘する。
 ボラは出世魚で、浜名湖一帯では「キラ」から、体長八〇センチほどの「トド」まで五つの名前で呼ばれることが多い。排水に集まっているのは「イナ」と呼ばれるサイズで、海で生まれてからしばらくは群れで行動することが多い。工藤さんは「ある程度、大きくなると産卵のため海に向かい、広い海に出た時に群れはバラバラになるのではないか」と話している。 

関連キーワード

おすすめ情報