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市有施設貸与 広がる波紋 私塾開設など「加賀プロジェクト」

2022年3月5日 05時00分 (3月5日 10時42分更新)
フリースクールが使用している旧黒崎小=加賀市黒崎町で

フリースクールが使用している旧黒崎小=加賀市黒崎町で

 政治団体幹部を務める神谷宗幣(そうへい)氏(44)が加賀市内で展開する「加賀プロジェクト」が波紋を広げている。新たな学校づくりを掲げて移住者を呼び込む一方、市有施設が政治活動に利用されないか警戒感を持つ市民も少なくない。市や神谷氏は「政治団体とは関係がない」と説明するが、隔たりは大きいままだ。(小室亜希子)

市など「政治利用ない」説明も警戒の声

 神谷氏は二〇二〇年七月に加賀市に移住。「加賀プロジェクト」と称して同年九月に認可外保育園を大聖寺地区に開設し、二一年九月にはフリースクールを旧黒崎小学校で始めた。今年四月からは山中温泉の旧看護学校生徒宿舎で、高校生や大学生のための私塾開設を予定している。
 旧黒崎小学校は昨年七月、フリースクールの運営団体から使用申請を受け、市教委は「将来の人材育成に資する事業を行うという活動目的を確認できた」として許可した。旧看護学校生徒宿舎は同十一月に活用事業者を募集し、唯一この団体から応募があった。
 団体代表は教員経験のある移住者の男性が務めるが、保守系の政治団体「龍馬プロジェクト全国会」会長でもある神谷氏が設立時の社員として関わっていることに、市議会では政治活動への利用や、市の政治的中立性を懸念する質問が続出。市民団体も設立され「自分たちの思想を広げるために、市の施設を使用するのは問題」と訴えている。
 これに対し神谷氏は本紙の取材に「龍馬プロジェクトとは全く関係ない。(事務局長を務める政治団体の)参政党に勧誘することもない」と説明。自身の役割は「企画を作り、人とお金を集めること」と話し、各現場の運営は移住したメンバーが行うとする。
 神谷氏によると、学校づくりによって国や地域の未来をわが事として考えるリーダーの育成を目指す。候補地を探す中、金沢市議の紹介で加賀市を訪れ、行政が協力的だったことや、交通アクセスの良さから移住を決めたという。これまでに全国から約三十世帯七十人が移住し、四月までに百人を超えると見込む。
 フリースクールでは子どもたちが自然の中で育ちながら、自ら課題を見つけ解決する力をはぐくむ。四月に開設予定の私塾は、通信制の高校や大学に在籍しながら、自学自習を基本に、全国のさまざまな大人から地域の課題や実践を学ぶ拠点を思い描いている。
 神谷氏は教育活動への政治的な関与を否定しつつ、「僕は政治で教育を変えたいと思っている。同じ人間がやっていることなので、そこに線引きはできない」と強調。その上で「不安があるなら直接話を聞きに来てほしい」と話す。

「公益性、詳細に周知を」

 金沢大の山崎友也教授(憲法学)の話 政治活動ではなく教育活動というならば、ただちに使用許可が行政の中立性を侵すものとは言えない。ただ市有財産を使用させる以上、フリースクールなどでの教育活動の実態が公教育に準じた内容になっているか、党派的な内容になっていないか、市がチェックする必要がある。疑問の声が出るのは教育実態が理解されていないからだろう。市も神谷氏も、教育活動が政治活動とは切り離された公益性があるということを、より詳細に周知する必要がある。

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