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室伏さんが2007年に落合監督から学んだ「体の使い方ひとつで大きな力を出せる」力まず飛ばせる中日・石川昂の才能

2022年2月28日 10時27分

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室伏さん(左)と笑顔で話す落合監督=07年1月、中日ドラゴンズ屋内練習場で

室伏さん(左)と笑顔で話す落合監督=07年1月、中日ドラゴンズ屋内練習場で

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇27日 オープン戦 楽天9―7中日(北谷)
 力感なく振り抜き、飛ばす。石川昂の最大の魅力だ。パワーは必要だが、もっと大切なのは効率性。日本ハムの臨時コーチを24日に務めた室伏広治さん(スポーツ庁長官)は、選手ら計3人を右手だけで引き倒してこう言った。
 「体の使い方ひとつで大きな力を出せる」。筋骨隆々の肉体に宿るパワーを、いかに凝縮し、一瞬で解き放つか。説得力に満ちた言葉で僕が思い出したのは、15年前のナゴヤ球場だった。
 今回は新庄ビッグボスに請われて野球選手を教えた室伏さんだが、逆に頼み込んで野球人に教わるところを僕は見ていた。2007年1月。屋内練習場でのレッスンは、先生が落合監督で生徒が室伏さん。ヘルメットをかぶり、110キロの打撃マシンを打ち込んだ。
 先生が教えたのは「遊べばいい」と「思い切り振れ」だけだった。「初めてバットを振った」という室伏さんは、最初は木の棒でボールをたたきつぶすような打ち方だったが、90分のレッスンを終えるころには力みが取れ、軽やかに打ち返すようになっていた。
 「ハンマー投げも打撃も回転するのは同じ。だから一度経験してみたかったんですよ」
 先生は「遊び」だと言ったが、生徒が本気なのは体から立ち上る湯気で伝わった。なぜ打撃を学びたかったのか。アテネ五輪の金メダルから3年。当時の室伏さんは32歳になっていた。パワーがなければ勝てない種目だが、年齢を重ねれば筋力は徐々に衰える。補うのは技術と理論。自分より筋力で劣る野球選手が、なぜ飛ばせるのかを体験したかったのだ。
 室伏さんはあの打撃教室から4年後の世界陸上で金、5年後のロンドン五輪で銅メダルを獲得し、41歳まで現役を続けた。打撃から学んだハンマー投げの第一人者が、今度は若き野球選手を指導した。「体の使い方ひとつで大きな力を出せる」。力まず飛ばせるのは、間違いなく石川昂の才能である。

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