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<月刊ジブリパーク> 生かせ「ジブリインパクト」 パークが街にやってくる

2022年2月25日 05時00分 (2月26日 13時18分更新)
 愛知県長久手市の愛・地球博記念公園に開業するジブリパーク。隣接する同県瀬戸市は世界的に有名なジブリが地元にやってくる衝撃を「ジブリインパクト」と呼び、街の活性化に生かす計画が動いている。お膝元の長久手市も人の流れを呼び込もうとしている。(瀬戸支局・西川侑里)
 「市中心部からジブリパークへ車で15分」とうたう瀬戸市は、街づくりの戦略文書に「ジブリインパクトを生かし、インバウンドを含めた観光振興を図る」と記す。市中心部にはホテルを誘致。来年10月開業予定で、ホテルとの協定書に「ジブリパークへの動線確保」の文言を盛り込んだ。
 愛・地球博記念公園は2005年、「自然の叡智(えいち)」をテーマとした愛知万博の会場となった。瀬戸市の伊藤保徳市長は「万博のテーマを大事にしてきた市とジブリは共通の理念が多い」と強調する。

昭和のレトロな雰囲気を残す「せと銀座通り商店街」=愛知県瀬戸市で

 瀬戸市の商店街は瀬戸物はもちろん、お茶、乾物、仏具など昭和の面影を残す店が並ぶ。最近は地元出身で将棋の藤井聡太五冠(19)の応援で盛り上がる。衣料品店経営の飯島加奈さん(40)は「商店街はゆったりした時間が流れ、店主と話し合って買い物ができる。ジブリパークの開業で、そのよさを分かってくれる人が増えたら」と期待する。
 市内では陶芸体験や博物館鑑賞、ランチを組み込んだ観光タクシーツアーを県などが運行。市は、タクシーで周遊後にジブリパークへ送り届ける新プランを考える。市観光担当の川原知佐栄課長は「昭和レトロな街に川や山。ジブリ作品との親和性を感じて『また来たい』と思ってもらえるはず」と構想を練る。

観光タクシーに乗って陶芸家の工房に到着した家族連れ=愛知県瀬戸市で

 一方の長久手市は、市観光交流協会が1月にジブリパークの情報を入れたガイドブック「長久手に恋して」を発行。小牧・長久手の戦いの古戦場やトヨタ博物館など見どころを載せた。
 遠方からジブリパークに訪れる観光客は、名古屋駅から地下鉄藤が丘駅を経て東部丘陵線(リニモ)に乗るルートが多くなりそうだが、吉田一平市長は「藤が丘駅からジブリパークまで歩いてほしい」と望む。距離は6キロ。市内を流れる香流川沿いは田園風景が残る。市民が木を植え、地元の芸術家が木陰で作品を制作する?。市長はそんな将来像を描き、「ジブリ作品は人が助け合って手作り感のある暮らしをしている。それを想起させる風景をつくる」と語る。

「ジブリ美術館」の東京・三鷹 地域に活気、イメージ定着

 2001年に東京都三鷹市に誕生した「三鷹の森ジブリ美術館」は、街のイメージを印象づけるのに役立っている。

ジブリ美術館までの距離が分かる街中の案内看板=東京都三鷹市で

 入場は事前予約制。通常は1日2400人、コロナ下の現在は1200?1400人に限定している。JR三鷹駅から美術館まで徒歩15分の道のりには、スタジオジブリがデザインした案内板を設置し、人の流れを生んでいる。美術館のある地区の南雲信之自治会長(67)は「海外の人が増えおしゃれなカフェが目立つようになった」という。
 美術館は市立施設で、スタジオジブリが協力する公益財団法人が運営。誘致に関わった同市スポーツと文化部の大朝摂子部長(56)は「『三鷹といえばジブリだね』と言ってもらえるようになった。世界にネームバリューがあるジブリの力はすごい」。ジブリを絡めた誘客策について「遠方から美術館を訪れる人は、他にどこにいくか事前に決めている。分かりやすく名所などの情報を提供する必要がある」と考えを伝える。
    ◇

「立体建造物展」の復刻版図録を刊行

立体造形物展図録の書影

 2014~18年に東京、長野、愛知など5都府県と韓国を巡回し約150万人を動員した「ジブリの立体建造物展」の公式図録が復刻された。
 同展では「風の谷のナウシカ」から当時の最新作「思い出のマーニー」に登場する建物の背景画などを公開し、代表的な建物を立体で提示した。
 本書には、19作品約380点の図版を収録。同展監修者で建築家の藤森照信さんによる解説文、美術監督種田陽平さんへのインタビュー記事、宮崎駿監督らの各作品に関する過去の文献からの引用文なども添える。トゥーヴァージンズ、2970円。(谷村卓哉)

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