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【月刊ラモス】まずはリーグの開催時期を欧州に合わせることを本気で考えるべきではないか

2022年2月26日 06時00分

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ラモス瑠偉さん

ラモス瑠偉さん

誕生から30年目のJリーグが開幕した。新型コロナの影響で入場制限もあり、盛り上がりはいまひとつ。同様に日本代表の試合もかつての熱狂ぶりが薄れている。月刊ラモスのラモス瑠偉編集長(65)は「今こそJリーグは世界に打って出るとき。そのためにもまずはアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で優勝できるクラブづくりを」と提言する。ACLで優勝し、さらにクラブW杯で実績を積み上げる。折しもアジア・サッカー連盟(AFC)は2023―24シーズンからACLを秋春制に移行し、外国人枠も拡大することを発表した。日本サッカー界全体が大転換期を迎えている。
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 1993年5月15日、ヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)と横浜マリノスが国立競技場で戦ってから、30年目のシーズンが開幕した。私は日本サッカー界の未来を考えたとき、今こそJリーグが世界に打って出る節目の年だと考えている。Jリーグの歴史を振り返ると、誕生時は地域密着を打ち出し、サッカーを日本の文化に根付かせるという理想を掲げ、多くの人たちに受け入れられた。Jリーグは世界からも注目され、W杯で活躍した大物外国人も数多く加入し、彼らから世界のサッカーを学び、リーグは成長した。
 その次の段階が、日本人選手の海外進出だ。Jリーグの発展とともに日本代表の強化を両輪とし、98年W杯フランス大会でW杯初出場。2002年にW杯を日韓共催で開催し、多くの日本人選手が欧州のクラブに移籍し、実績を残していった。W杯出場は6大会連続。そして3月24日、7大会連続出場を懸け、オーストラリアとの大一番を迎える。
 ただ、Jリーグにせよ日本代表にせよ、このところ頭打ち状態が続いている。新型コロナの影響で入場者数は激減。W杯最終予選の中継が放映権料の高騰のため、地上波ではホームゲームのみ。かつての熱狂が懐かしく感じる。
 今こそ次のビジョンにステップを踏み出すときではないか。30年目の節目を迎えたJリーグは、今後、世界に打って出るべきだと考える。その第1歩がACL制覇だ。ACLを獲得すれば、クラブW杯がある。そこで実績を積み上げれば、世界の注目は再びJリーグに集まるだろう。
 ブラジルでは、クラブW杯の権威を高めるために、欧州を中心に出場クラブを増やすことが検討されていると報じられたという。現行の大会方式では優勝が欧州、準優勝が南米、3位がアジア、アフリカ、北中米のクラブという図式が出来上がっており、3位のクラブが世界3位などとは誰も思ってくれない。しかし、出場クラブが増えれば、3位の価値も変わる。
 ACLを勝ちきり、クラブW杯でJリーグの存在感をアピールする。そのためにはJリーグ、そして日本サッカー協会(JFA)が一体となって改革を打ち出していく必要がある。
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 そんなことを考えていたら、衝撃的なニュースが飛び込んできた。ACLの開幕が、2023―24シーズン大会は9月になるという。そして、外国人枠も現行の国籍を問わない3人プラスアジア国籍の1人から、国籍を問わない5人プラスアジア国籍の1人に拡大し、出場停止になる累積イエローカードも2枚から3枚に緩和されるという。
 ACLは東西アジアとも秋春制に移行し、欧州と同じカレンダーになる。今季も来年2月に決勝が行われることになっていたが、今後は恒常的になる。となれば、現状ではJクラブはさらに厳しい戦いを強いられることになる。現行の大会方式になってからは、浦和が2回、G大阪と鹿島が1回ずつ大会を制し、クラブW杯へ出場している。
 しかし、近年は4強に残ることも難しくなっており、協会関係者と話していると「中東のサッカースタイルが変わってきた。以前はロングボールを蹴ってスピードのある選手を走らせるカウンターが軸だったが、今はきちんと組み立てる組織的サッカーを目指している。それは代表だけでなく、クラブも同じで、下部組織を充実させ、取り組んでいる」と言う。今や韓国、中国、中東の強豪クラブを倒し、タイトルを獲得するのは並大抵のことではない。
 では、どうやって世界に打って出るのか。まずはリーグの開催時期を欧州に合わせることを本気で考えるべきではないか。これまで何度か浮上してはJクラブの反対が強く、消えた秋春制。雪国問題など、カレンダーに工夫は必要だが、ACLも秋春制になるのであれば、ちゅうちょしている場合ではない。
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 さらに、猛反発されるのは分かったうえで提言する。以前もこのコラムで提言したが、クラブ数を絞り、各クラブの競争意識を高める。現状のJ1・18クラブでは上位と下位の格差が開きすぎている。せめて16クラブに絞り、地域に密着しつつ、地域から世界に打って出るためのプレミアリーグを創設する。
 J1、J2のクラブは地域に根付くことを主眼にする。もちろん、J1から世界に打って出ることを目標にするクラブは、強化して入れ替え戦を勝ち抜き、プレミアリーグに参戦すればいい。リーグのレベルを上げるためには改革が必要だ。
 そして外国人監督の積極的登用をさらに進める。ただし、外国人監督にお任せではなく、アシスタントに日本人コーチを必ず置き、チームづくりや戦い方を徹底的に吸収する。人材育成の面だけでなく、クラブの強化を含め、多角的に改革し、世界と戦えるクラブづくりを目指す。
 選手は海外に飛び出して、欧州のサッカーを吸収できるが、指導者が海外のクラブで学ぶのは難しい。ならば、海外からいい指導者を呼ぶしかない。これから先、中身の濃いリーグにしていかなければ、世界においていかれる。
 W杯でベスト4、さらには優勝を狙うなら、選手の海外移籍だけでなく、自国リーグのさらなる強化、活性化は不可欠。大改革の機は熟した。(元日本代表)

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