<奥三河点描> 田口線ジオラマ
2022年2月18日 05時00分 (2月18日 23時20分更新)
えび茶とクリーム色のツートンカラーの二両編成の電車が、トンネルや橋を抜け、山の間に次々と現れる小さな駅に滑り込む。「下からジオラマを見上げてください。それが川で水遊びする当時の子どもたちの視点ですね」。制作した豊橋市の豊橋南高校で国語教諭を務める伊藤悟良さん(59)=豊川市白鳥町=に促され、見学者たちが中腰でのぞき込んだ。
【関連動画】田口線のジオラマ
半世紀前に廃線となった豊橋鉄道田口線(前身・田口鉄道)は、ジオラマファンの間で人気が高い。中でも各地のイベントで注目されるのが、伊藤さんによる二つの作品だ。
伊藤さんはもともと鉄道ファンではなかった。だが約十五年前、長男にNゲージ(縮尺百五十分の一)の鉄道模型を買い与えたことなどをきっかけに、ジオラマ制作を思い立った。「少しやって、しんどいものにのめり込んでしまったことが分かった」と苦笑する。
七年かけて完成した一作目は五千四百平方センチの大きさ。その中に小さな三河田口駅、三河大石駅、鳳来寺駅のほか、「高鉄橋」と呼ばれた第四寒狭川橋梁(きょうりょう)や、電車がパンタグラフを低くして走行した双瀬隧道(ずいどう)などの見どころを凝縮した。第...
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