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大会の華はしおれている…美しくも哀しいスケーティング・ドール【北京五輪】

2022年2月16日 12時35分

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SPの演技を終え、目頭を押さえるカミラ・ワリエワ

SPの演技を終え、目頭を押さえるカミラ・ワリエワ

【満薗文博コラム・光と影と】
 「大会の華はしおれるのか」と、前回のコラムで書いた。ドーピング疑惑の色濃いカミラ・ワリエワにスポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定が下される前に書いたものだった。それから数日後、ロシアオリンピック委員会からフィギュアスケートに出場しているワリエワに同裁判所が下した裁定は、一見、温情が漂う。かいつまんで言えば「15歳の少女に、回復不可能な傷を負わせるわけにはいかない。だから今回のオリンピックの出場は認める」というものだった。ただし、ゲーム終了後のメダル授与式は延期されるという但し書きつきである。後日、もしクロが明らかになったら…、のふくみを持たせている。
 15歳の少女がかわいそうである。15日のショートプログラムに登場して、予想どおりトップに立ったが、そこに笑顔は無く、あったのは滑走後の涙である。裁定は一見、ワリエワを救済したかに見えるが、完全にシロ―無実を認定したものではない。玉虫色の裁定は、ワリエワに過酷なスケーティングを突きつけている。一般客が入場できないとはいえ、大会の模様はテレビで世界中に流されている。多くの疑惑の目を全身に受けて、演じなければならない悲しさは想像に難くない。
 前にも書いたが、疑惑が本当だとしても、15歳の少女が自らしでかした「犯罪」だとは到底思えない。どこから編み出したか「クリスマスに病気の祖父が引用したグラスに、件のトリメタジジンが付着していた。それに、彼女が誤って口を付けた」と、おおよそ考えづらい説まで飛び出したと聞く。おおよそ「笑えない、笑える話」である。
 ここは、金メダルを渇望する、背後にいる大人たちの所業が引き起こした「犯行」だとしか思えない。アスリート自身の栄光もさることながら、国の栄光を優先させるような「悪しき伝統」が根強く残るとウワサに聞く。
 大会の華はしおれている。美しいけれど、哀しいスケーティング・ドールである。15歳のカミラ・ワリエワ。
 (スポーツジャーナリスト)

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