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転覆恐れず立ち向かえ…同じ石垣島出身BEGINの中日・大嶺へのエール曲『爬竜舟』紅白戦の荒波にも不屈の心で

2022年2月14日 10時33分

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紅白戦で登板する大嶺

紅白戦で登板する大嶺

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って
 僕はこの名曲を、1000回は聴いたことがある。それなのに曲の背景も歴史も知らなかった。BEGINの『爬竜(はりゅう)舟』。そのリズムは心地よく脳の奥まで染み込んでくるが、歌詞は全く聞き取れない。あわてて調べたのは、ロッテ広報室長の梶原紀章さんがウェブ上に書いた記事を読んだからだ。
 同じ石垣島出身のBEGINが、大嶺へのエールも込めて作った曲だという。検索したら、確かに歌詞には「大嶺」という言葉が使われていた。
 「僕の結婚式にも出席してくださって、ライブもやっていただいたんです」。交友は入団直後から始まり、同郷の絆を深めてきた。
 「爬竜舟」とは、豊漁を祈念するハーリー(海神祭)には欠かせない船である。さしずめ海のみこし。沖縄各地の漁港で行われるが、石垣島はとりわけ熱い。
 「小学校の時は授業でカイを作りました。台風で中止になりましたが、中学では競漕(きょうそう)に出るはずでした。石垣島では(伝統を守って旧暦の)5月4日にやるので、本当は授業があるんです。でも全校休みです。僕の身内もみんな漁師。動画サイトで見たら、必ず親戚や友達が映っています」
 海の男たちは地区や職場ごとに爬竜舟に乗り込み、島全体が祭に染まる。歌詞を追うと「転覆」という言葉で止まる。単に速さを競うレースもあれば、わざと転覆させ、船体を起こして再び進むレースもあるからだ。
 「見ている人が一番盛り上がるのがあの時なんですよ」と大嶺は教えてくれた。海は大きな恵みを与えてくれるが、簡単に人の命を奪う。常に順風満帆などあり得ない。そこには先人の教えが詰まっている。
 3年前にトミージョン手術を受けた。昨年は戦力外通告され、中日にやってきた。この日の紅白戦では1イニングを3安打、2失点。大嶺を容赦なく荒波が打ちつける。「転覆」を恐れず、立ち向かえ。「いつの日か、自分もこいでみたい」という爬竜舟が、不屈の心を教えてくれる。
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