宇野昌磨“涙の1人キスクラ”を救ってくれたランビエルコーチ 銅メダルの次は完璧なボレロで恩返し【北京五輪フィギュア】
2022年2月10日 20時16分
◇10日 北京五輪 フィギュアスケート男子シングル・フリー(北京) 宇野昌磨(24)=トヨタ自動車=は4回転ジャンプでミスを重ねた。それでも五輪の舞台で戦い、表彰台に上がれたことを喜んだ。
「この4年間、いろいろなことがあり、再びこの場所に立ててうれしい。1年前はここに立てるような存在ではなかった。この順位は4年間の成果だと思うので、素直にうれしい」
冒頭の4回転ループは宇野本人も納得の3・45点という出来栄え点(GOE)を引き出した。しかし、4回転サルコーと4回転フリップと続けて着氷が乱れ減点された。基礎点が1・1倍となり得点を伸ばしたい後半の単独4回転トーループもGOEを加点できなかった。
「久々に試合で硬くなるような緊張だった」と宇野。表彰台を狙う重圧なのか、五輪特有の緊張なのか。本人もまだ分からないという。フリーは5位。それでも、3位だったSPでの“貯金”で表彰台に再び上がった。
銀メダルを獲得した2018年平昌五輪の後、さらなる成長を求めるがあまり、不調に陥った。日本開催だった2019年の世界選手権4位と表彰台を逃し、悔し涙を流す。同年6月には新たな環境を求めて、所属していたグランプリ東海クラブを離れた。コーチ不在の同年11月のグランプリ(GP)シリーズ・フランス杯は8位。初めて味わう惨敗に、1人で座ったキス・アンド・クライで涙に暮れた。
どん底から救ってくれたのは翌年から師事するステファン・ランビエルコーチ(36)だった。06年トリノ五輪銀メダリストと接し、競技との向き合い方を学んだ。試合でミスのない完璧な演技を求めるのではなく、練習通りに挑んだミスは次につながると考えられるようになった。
スケートを楽しむ喜びが再び湧いてきた。今大会で悔やむのは、ランビエルコーチが振り付けたフリーの「ボレロ」を思うように演じられなかったことだ。「ステファンが好んで作ってくれたプログラム。もうあと1試合しかないけど、『よかった』と言ってもらえるようなプログラムにしたい」。まずは3月の世界選手権(フランス・モンペリエ)で“リベンジ”を期す。
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