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劇場のおと

2022年2月10日 11時16分 (2月10日 11時16分更新)
SPAC「夜叉ヶ池」(2015)=中尾栄治撮影

SPAC「夜叉ヶ池」(2015)=中尾栄治撮影

 タイムマシンがあったら…と、誰もが一度は考えたことがありますよね。実際まだ夢の話ですが、一瞬で、時間旅行をさせてくれるものがあります。しかもそれは、時間だけでなく、空間も超えて、見たことのない世界へひとっ飛び。何のことかお分かりでしょうか? 答えは、観劇です。
 静岡県にはSPAC(スパック)という、県が設立した劇団があります。東静岡や、日本平にある専用劇場の他、海外でも公演を行い、多くの人が心を動かされています。かくいう私もその一人。SPACの世界に魅せられて、劇場に足を運んでいます。
 現在上演されているのは「夜叉(やしゃ)ヶ池」という演目。泉鏡花の原作を基に、SPAC総監督の演出家、宮城聡さんによって、目も耳も心も奪われる、極上の舞台が繰り広げられます。
 「目も耳も」と書きましたが、この舞台、音響が生演奏なんです。その音と心の鼓動が、いつの間にか一体化し、自分がどこにいるのか?一瞬見失うほど。こんな体験はなかなかありません。現実世界から、夜叉ヶ池の畔(あぜ)に立って、自分が、物語の真ん中に存在しているかのような感覚に陥るんです。そして、クライマックスの頃には、我を忘れ、時間も空間も超えて、未知の世界へ飛んでいます。
 SPACのスローガンは「さあ劇場へ ここから対話が始まります」というもの。自分自身との対話、歴史との対話、目に見えない何かとの対話。それらはSPACの劇場から始まります。私も刺激的な対話を、何度も交わしてきました。次の対話が一体どんな世界なのか? また楽しみでなりません。

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