【北京五輪フィギュア団体戦】昌磨を上のステージへ引き上げた…女子トップ選手が笑って驚いた常識覆すスケート靴
2022年2月4日 18時21分
◇4日 北京五輪 フィギュアスケート団体戦 男子ショートプログラム(SP、北京・首都体育館)
日本の宇野昌磨(24)=トヨタ自動車、中京大=はSPの自己ベストを3季ぶりに更新する105・46を記録、首位のネーサンチェン(米国)に続く全体2位となり、日本の4位発進に大きく貢献した。
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常識を覆すスケート靴が宇野を一つ上のステージへ引き上げた。3週間おきに新調していた靴を、今季は一度も変えていない。女子のトップ選手がこの靴を履いたときに「スケート場の貸し靴と同じ。ジャンプなんて無理」と笑って驚くほど革が柔らかくなっている。
「良くなった一番の要因は靴。練習をやった分だけ成長できている。こんな楽しいことはない」。宇野が3年ぶりに優勝した昨年11月のNHK杯のときに語った。
おろしたての靴は履きならすのに2週間ほどかかる。宇野の靴修理を手がける橋口清彦さん(49)=愛知県津島市=は言う。「靴に慣れる時間はリハビリと同じ。これまでは原状復帰の練習だった。今は同じ状態で練習を積めている」
靴を変える必要がなくなった理由は二つ。一つは軟らかい靴が合っていたことだ。通常は高難度の4回転ジャンプを跳ぶには硬い靴が好まれる。宇野も硬い靴を履いていた。2年前のオフに軟らかい靴を試し、足首の柔軟性を使って跳ぶ自身の特性に初めて気づいた。そしてもう一つが曲がらない、折れないブレード(刃)を見つけたことだ。
製作するのは名古屋の町工場、山一ハガネ。自動車部品の金型製造業者が手がける刃は、各パーツを溶接してつなぎ合わせる従来品とは異なる。鉄の塊から1つの刃を削り出すため、曲がる主な原因の溶接部分はない。鉄も軟らかめで粘りのある材質を選んだ。
「10キロの鉄を約270グラムまで削るので歩留まりが悪く、もうけがほとんどない。ただ、いいものを使っていただきたい一心で作っている」。開発を担当した石川貴規さん(44)は熱っぽく語る。宇野の曲がらない刃への信頼は高い。
「曲がらないエッジは魅力で安心感がある。エッジがずれない確信があるだけで、靴が悪いときはエッジ以外のところに疑問が持てる」
宇野のジャンプの跳び方も合っていた。橋口さんによると、羽生結弦(ANA)は靴(アッパー部)の反発を利用して跳ぶのに対し、宇野は刃のしなり戻りを使う。宇野の特異性、発想の転換、商品開発力がかみ合い、宇野の成長曲線は鋭角になった。
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