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【北京五輪】本紙記者がバブル下の厳戒態勢を体験 移動のバスの窓すら開けられず…メディアは目に見えるウイルスの媒体者なのだ

2022年1月29日 18時20分

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フェンスに掲示されたバブルから出ないことを喚起する看板

フェンスに掲示されたバブルから出ないことを喚起する看板

 昨夏の東京五輪と同じように、北京五輪も新型コロナウイルス感染対策のため、選手団や報道関係者を外部と遮断する「バブル方式」で繰り広げられる。バブル内に一度入ると、市井の人と接触は一切できない。そこかしこに「壁」は張り巡らされ、半年前をはるかに上回る厳戒態勢の「泡の中」を紹介する。
     ◇
 27日午後、北京の空港に着くと白の防護服をまとった人に出迎えられた。空港で働く人は全員、防護服の姿。威圧感で背中がこわばるが、慣れるのも早い。空港を出るころには着ぐるみに見えてくるから不思議だ。
 消毒液の散布は念入りで、如才ない。私たち一行が歩いた後(跡)を消し去るかのように、じゅうたんの上でも丁寧にまく。ホテルへ向かう五輪関係者専用バスも消毒液のにおいが立ち込め、床はぬれている。中華料理店の油とは異なるが、滑り具合は似ている。
 市井と隔てる特設フェンスに囲まれたホテルに着くと、ルームキーと「検査結果が出るまで部屋から出ないように」との注意書きが入った袋を携え部屋に入った。アクシデントが起きる。
 同僚2人の各部屋が間もなく停電となった。受け付けに問い合わせると「検査結果が出るまで部屋に入れない」と復旧作業を断られた。結果が出るまでの5時間余り。夜も更けた真っ暗な部屋で「じっとしていた」と切なそうに振り返っていた。
 ホテルと施設間を結ぶバスでも、厳戒態勢ぶりは垣間見られた。カメラマンが車内の窓を開けて選手村の写真を撮ろうとすると、バスは急停車。男性運転手は車内と運転席を隔てるアクリル板をたたき、「窓を開けるな」と怒っている。同僚の駐在員に聞くと、市民は五輪関連の車が絡む事故に遭遇しても、助けようと車外に出るのはもちろん、窓を開けるのも禁じているという。そう、メディアは目に見えるウイルスの媒体者なのだ。肝に銘じたい。
 そうは言っても、ときめく瞬間はある。車窓から卓球に興じる市民を見た。中国式ペンを握る卓球愛好家の私は高揚した。零下の屋外で2列に並ぶ計約30台の卓球台を挟み、大勢の人が打ち合っていた。ピンポン外交の野望は水の泡と消えてもつながりは感じられ、心が熱くなった。
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