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絵本の中にいるような 阿部海太さん金沢で個展

2022年1月29日 05時00分 (1月29日 11時16分更新)
阿部海太さんの絵画と言葉による新作展=金沢市長町のオヨヨ書林で

阿部海太さんの絵画と言葉による新作展=金沢市長町のオヨヨ書林で

 神話的世界や根源的なイメージをモチーフにした絵本で注目される画家、絵本作家の阿部海太(かいた)さん(神戸市)が金沢市長町の古書店「オヨヨ書林せせらぎ通り店」で、絵画と言葉による新作展「ふたつの目のたま がらんどう 夜がそそがれ 朝がこぼれて」を開いている。二月十三日まで。
 板に描いた油彩画十八点と、詩のテキストを併せて展示。淡い紫色の光の中で犬の背中をなでる子、鳥や犬に囲まれながら目をつぶったまま夢想する穏やかな表情を浮かべる子、光差す天に昇る鳥とうれしげに歩く子…。「表現という衝動の根っこにあるだろう死への悼み、生への賛歌を一つの流れのように描きたかった」という。
 古書に囲まれた空間で絵と詩を交互に見ていくうち、絵本の世界に入り込むような感覚になる。「絵を描くとき自分が何を見て描いているのかを捉え直したい気持ちがあり、言葉が必要だった。展示では、言葉が絵と絵の間を取り持ったり、橋を渡したりする役割にも見える」
 幼い子と動物が溶け合う姿を描いたのは「生と死を自然に体現する動物へのあこがれがあり、自然さを失わない幼い子にも同じ思いがあるから」。コロナ禍が続く中、「表現は逆に穏やかな方に向いたような気がする」という一方で「目に映らないところにも現実があることを忘れないために、自分の絵ができることが少しはあるはず」とも。
 阿部さんは一九八六年、埼玉県出身。東京芸術大デザイン科卒、ドイツ、メキシコに渡った経験を経て、二〇一一年から絵本や絵画作品を発表。絵本「ぼくがふえをふいたら」で日本絵本賞。ほかに「みち」「みずのこどもたち」「めざめる」など。京極夏彦さんが新たな語りをつけたシリーズ「えほん遠野物語」(汐文社)の一冊「しびと」で絵を担当した。月刊誌「世界」に各地の民話を題材にした絵画とエッセーによる「民話採光」を連載中。(松岡等)

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