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栗東と美浦の設備差はほとんど無いが…栗東が持ち続ける大きなアドバンテージ【獣医師記者コラム・競馬は科学だ】

2022年1月28日 06時00分

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美浦で調整するリアンヴェリテ

美浦で調整するリアンヴェリテ

◇獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」
 栗東で滞在調整する関東馬はしばしば見るが、美浦での滞在調整を選ぶ関西馬はかなり少ない。根岸Sのリアンヴェリテは、このまれな調整過程を選択した。北海道の滞在競馬に実績があり、栗東発でも関西圏に実績が偏っている。直前の輸送距離を少しでも短くする策だという。
 かつては設備に差があると言われたこともあったが、どちらの現場も知っている身としては、少なくとも現在の両トレセンに、設備のスペックに大きな差があるとは思わない。
 例えば坂路について、ひところは美浦の方が圧倒的に速い時計が出ていた。確かに全体の高低差は美浦18メートルに対して栗東32メートルだから、栗東の方が大きな負荷をかけやすそうだと思われるのも無理はない。
 ただ、坂路の調教負荷に寄与するスペックは、こう配がきついところの斜度が利いてくる。これは美浦が後半の350メートルで3・0%。栗東はカーブを抜けたところからの570メートルの3・5%。栗東は最後の30メートルが4・5%とさらに急になるが、これはむしろ馬を止めるために設定してある。
 あくまでどちらが、という序列をつければ、栗東の方がややきついのは確かだが、実効性のある差があるかどうかはもはや怪しい。敷設したチップの性質の差でもあって結果、東西坂路の追い切り集中日の一番時計はいまや大差なく、好天下であれば50秒台前半くらいで安定だ。
 Wコースだって美浦が、かつてのBコースから一番外の南Dコースに移動させたため、美浦が1周2000メートル、栗東同1800メートルと今や美浦の方が広い。
 ただ、栗東が美浦に対して大きくアドバンテージを持ち続けているところが1点ある。地理だ。栗東から京都競馬場までは乗用車で1時間弱。阪神競馬場と中京競馬場が同じくらいで1時間半前後だ。
 対して美浦は中山競馬場こそ同1時間半くらいだが、東京競馬場が遠く、首都高の中心を避けスムーズに抜けても2時間近くかかる。栗東~中京間より多少遠い。リアンヴェリテは美浦坂路で復活にも十分な動きを見せている。栗東から中京への遠征は問題にはならなかったこの馬の好走は、それより少し長い美浦~東京の輸送が、十分短いのかというところにもかかっている。

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