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<EYES> エッセイスト 小島慶子さん 目標を立てるけれど…

2022年1月27日 05時00分 (1月27日 09時43分更新)
 「ママ、今年の目標は何?」「そうだなー…今年はもっと人生を楽しむことを大事にしようと思う」「いいね!」。お正月に息子たちとそんな会話をしました。皆さんは、どんな新年の目標を立てましたか? 初詣でおみくじを引いて、今年を占った人もいるでしょう。
 私はあきれるくらいすぐに、目標もおみくじも忘れてしまいます。おみくじは引くたびに壁に貼っていたら、今や日めくりカレンダーみたいに分厚くなりました。ある程度たまると後で見返します。「この時期は同じような内容のおみくじが続いているけど、確かに物事が停滞していたな」とか、「おぉ、確かにこの時は大きな変化があったな」とか。答え合わせができて楽しいです。おみくじの的中率を知るためではありません。「自分の脳みそは、起きたことをそんなふうに読むのだな」と知るのが面白いのです。
 人生は小説を書くように筋書き通りには生きられないけれど、小説を読むように、自由に解釈することができます。それまで悲劇のストーリーとして読んでいたものが、ある時ふと、愛の物語として読めることに気づいたりしますよね。そんな感じで、今自分は人生をどのように読みたいと思っているのか、どんなふうに読んでしまう癖があるのかを知ることが大事だと思うのです。
 私は目標をすぐに忘れ、あとで都合よく「ああ去年は“学ぶ”がテーマの年だったんだな。きっと多少は賢くなっただろう」などと納得しています。学校での「目標を立てよう」は「決めたことを達成しよう」という教育なのでしょうけれど、いつも達成できるとは限りません。それより、起きたことをどう解釈するかが大事。子どもたちには、人生はどう読んでもいい、それは自由なんだよと教えてあげたいです。

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