がん経験者が子どもを持つには 里親、養子縁組も選択肢に
2022年1月26日 16時04分 (2月17日 12時19分更新)
がん治療後に子どもを持つ可能性を残すため、受精卵の凍結保存などの妊孕(にんよう)性温存療法を受けるAYA世代(10代後半~30代)の患者が増えている。ただ、必ずしも妊娠・出産につながるとは限らない。里親や特別養子縁組などで子どもを迎え、育てるのも選択肢の一つだろう。乳がん治療を経て男の子を迎えた愛知県内の40代女性は「望みを捨てないで」と訴える。 (奥田哲平)
1児の母「望み捨てないで」
女性は二〇一〇年に結婚。子ども二人が理想で、翌年に建てた自宅二階には間仕切りができる部屋をつくった。だが、なかなか子どもが授からず、体外受精に臨んでいた頃に右胸のしこりに気付いた。一二年八月に手術で切除。その後の検査結果で脇に転移が見つかり、医師から抗がん剤などの再発予防治療が必要と告げられた。
抗がん剤の副作用で卵巣がダメージを受け、妊娠する力が損なわれる恐れがある。同意書に署名すると、涙が止まらなかった。「苦しい不妊治療から解放されるけど、子どもは持てない」。子ども連れを目にするのがつらく、精神的に追い詰められた。
治療前、受精卵凍結の説明を受けた。ただ、がんの再発がないと確認できた五年後に受精卵...
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