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藤枝東高サッカー部 OB父、寮と直接契約 長年の慣習指摘

2022年1月25日 05時00分 (1月25日 05時02分更新)
県外出身のサッカー部員らが暮らす元ビジネスホテル=藤枝市で(一部画像処理)

県外出身のサッカー部員らが暮らす元ビジネスホテル=藤枝市で(一部画像処理)

 サッカー強豪の県立藤枝東高校(藤枝市)が、県教委の規定に反して県外の生徒を単身で受け入れ、部員が学校の管理下にない寮で生活していたことが明らかになった。過去に寮生活をしていた卒業生の父親が取材に応じ「県教委の規定を知らなかった」と語った。関係者は、長らく続いていた慣習だったと指摘する。(塚田真裕)
 「保護者と(県内で)同居しなければいけない、とは言われなかった」。二〇〇〇年代に寮で生活した部員の父親は振り返る。入学時に部から寮を紹介され「管理人と直接契約を結んだ。細かいことは聞かれなかった」と話す。息子の同学年は全国から五人と、県内で遠方に自宅がある三人が寮に入っていたという。
 夕食がない週末は、複数の保護者が県外から駆け付け、部員を外食に連れ出すなど「助け合っていた」。
 寮の存在は、入学希望者の間では知られていた。サッカー部の公式ホームページでは寮に触れていないが、ネット上の民間掲示板には「寮はありますか」の質問に「ビジネスホテルがサッカー部の寮となっている」などの書き込みがある。
 寮で事故や病気など問題が生じた場合、学校側は「保護者の責任」との認識を示す。同校サッカー部後援会の河村正史会長は「こうした状態は二十年以上続いているのではないか。県外生徒の受け入れには利点もある。県教委には時代に合った制度の変更をしてほしい」と求めた。
 野球強豪の県立静岡高校(静岡市葵区)も県外からの生徒が数人いるが、いずれも保護者と共に転居しているという。同校では県外からの志願の問い合わせに「本人のみの転居では認められない」と強く注意している。
 一方、県内でも遠方に自宅がある生徒は、アパートに下宿。学年に五人ほどいるという。県教委の規定では、県内生徒の下宿を禁止していない。県教委は「そうした状況は想定される」と認めている。

◆安全上、異常な状態

 部活動の事情に詳しい名古屋大の内田良准教授(教育社会学)の話 制度的保障のない中、未成年を一人暮らしさせている現状は安全上、非常に危うい異常な状態だ。学校として一人暮らしせざるを得ない状況と知りながら、居住の管理をしていないのは問題。県教委には学校を管理指導する責任があり「知らなかった」では済まされない。早急に対策するべきだ。

◆同様問題発覚の三重県

 今回と同様の事例は、二〇一七年四月に三重県でも発覚した。「保護者の県内居住」を条件とする県教委の規則に違反し、サッカー強豪の四日市中央工業など県立のスポーツ強豪校が県外生徒を受け入れていた。県教委は有識者検討会で協議し、一九年四月の入学から県外生徒を受け入れるよう制度を変更した。
 県教委の当時の調査では、違反状態にある生徒は八校の百十六人。静岡県と同様、保護者が就業予定証明書やアパート賃貸契約書の提出義務があった。ただ保護者の多くは出願時に「合格後は子どもと転居予定」と届けながら、実際には引っ越さなかった。県教委も入学後に確認する仕組みがなく、こうした状態が二十年以上続いていた。
 検討会は地域活性化や教育面を踏まえ、県外生徒の受け入れを容認。スポーツ強化指定校や小規模校など計十七校で、一九年度から受け入れた。それまでは下宿先の管理人を保証人にし、学校と県教委に届けるなどの暫定措置を取った。
 三重県の検討会長を務めた三重大の山田康彦特任教授(教育学)は「当時は、学校が責任を持って生徒を預かる体制から逸脱した実態があった。最も大事なのは生徒の安全、安心の確保だ」と指摘。「高校の活性化と県内中学生の進路保証をどう両立するか検討し、結論を出した」と話した。

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