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「お値打ち」は名古屋弁!! ローカル番組の超キラーワードがじわじわ全国へ【企画・NAGOYA発】

2022年1月24日 11時50分

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 名古屋市内の飲食店に掲げられる「お値打ランチ」ののぼり(鶴田真也撮影)


◇第4回「これって名古屋弁?」その2
◇アナウンサーも知らなかった
実は名古屋が発祥、由来だったという古今東西の事象を取り上げ、トコトン深掘りする企画。今回も名古屋弁にスポットを当てる。第2弾は『お値打ち』。濃尾地方独特の表現で「お買い得」を意味する。最近ではこの言葉が全国にじわじわと広がり始めているという。
  ◇  ◇  ◇
 『お値打ち』。東海地区の夕方のローカル情報番組で聞かれない日はない!―と言っても過言でではない。地元の物産などを紹介する生活情報コーナーでは定番のキラーワードとなっている。
 「値打ちがある」という場合は「金銭的な価値が高いこと」を表す。ところが『お』がつくだけで、意味は「お買い得」に一変。時にはお値打ち品、お値打ち価格と続けることもある。
 あまりに日常的に使われているため、地元では共通語と認識している人も多いが、これはれっきとした名古屋発祥の方言。2019年7月に日本テレビ系のバラエティー番組『秘密のケンミンSHOW』で愛知県が特集された際にも「方言」として紹介された。
 元東海テレビアナウンサーでフリーで活躍する静岡県出身の武裕美さんは「入社するまで知らなかった」と明かし、「字面から意味を想像できる言葉だったので、初めて聞いても特に違和感はなかった。良いものをより安くという、お得感があって“良いイメージ”がある」と振り返った。
◇音楽研究家・服部勇次さんの見解は…
 それでは言葉のルーツはどこか。名古屋弁に詳しい愛知県弥富市在住の音楽研究家・服部勇次さん(81)は「江戸時代の名古屋城下の上町(かみまち、うわまち)で使われていた言葉。反物など衣類を売る商家から発生した」と解説する。上町とは、現在の名古屋城跡の南に位置する問屋街一帯のことだ。

名古屋弁を研究している服部勇次さん(鶴田真也撮影)


 「普通だったらこれだけの値段がするけど、ウチの店ではサービスしときますよ、という意味。よく『勉強しますよ』と言うことが多いが、上町では代わりに『お値打ち』という独特の表現が使われていた」。ちなみに名古屋弁のうち、絶滅危機にあるとされる「なも」「○○あそばせ」など穏やかな語感のものはここが発祥だ。
 近年になって「お値打ち」に変化の兆しがみられる。これまでは中京圏でしか通用しないといわれてきたが、じわじわと全国にこの言葉が拡散し始めているのだ。
 その口火となっているのが通販サイトだ。例えば、大手サイトの楽天市場でワード検索すると約22万件のヒットがあり、「お値打ち商品」「訳ありお値打ち品」などのタイトルが出てくる。このほかトレンド商品を紹介する雑誌やビジネス誌でも使われているケースがある。
◇『おつとめ品』も名古屋由来?
 この言葉と同様に名古屋由来といわれている語句が『おつとめ品』。消費期限、賞味期限が近づき、通常価格よりも安く提供されている商品を指す。こちらも「商売人が客に奉仕する」との意味合いから来ているとされ、関西発祥の言葉との説もある。
 「安い」と露骨に言わず、巧みに客の購買意欲をくすぐる言葉が「お値打ち」。今風に言えば、「コスパ(コストパフォーマンス)がいい」に近い表現といえる。(鶴田真也)

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