【北の富士コラム】相撲の神様は時に意地の悪いことをする 照ノ富士は膝をしっかり治して
2022年1月24日 05時00分
◇23日 大相撲初場所千秋楽(東京・両国国技館)
私の場所前の展望ではよほどのことがない限り照ノ富士の優勝は動かない、もし照ノ富士に予想外の事が起こったなら誰が優勝してもおかしくはないが、その中でも貴景勝と御嶽海にチャンスがあると書いていると記憶しているが、確かな自信がない。
それでも場所の方は私の予想した通り、照ノ富士が6日目に1敗したものの無難に勝ち進んでいたが、12日目の明生戦で不用意な立ち合いで後手に回り、強引に前に出るところを肩透かしで土俵下に転落した。どうやらその時点で左膝を痛めたらしく、その後の相撲は急速に勢いをなくしてしまった。
一番恐れていたことが起きてしまった。14日目は阿炎に負け、優勝は絶望的になってしまった。本来なら今後の事を考えると、とても相撲が取れる状態ではなかったが一人横綱の責任感、優勝のかかっている一番は照ノ富士ならずとも休む訳にはいかない。
私も心を鬼にして決定戦を見たいと言わざるを得なかった。私だって万に一つも照ノ富士が勝つとは考えられなかったが、結果はみなさんもご覧になった通りでありました。相撲の神様は時には意地の悪いことをするものです。最後の一番までもう少し待ってほしかった。実にうらめしく、後味の悪い仕打ちとしか言いようがありません。
照ノ富士にしてみれば神も仏もないものかと思いたいところだろうが、治療に専念し、しっかり治して春は無理でも夏場所は強い照ノ富士の勇姿を見せてもらいたい。
今場所は御嶽海と阿炎が優勝争いを面白くさせ、琴ノ若、豊昇龍、若隆景、それに宇良の若手力士が元気な相撲で土俵を盛り上げた。幕内の若手力士や十両、幕下にも将来有望な力士が出てきたのはうれしいことだ。
反面、横綱は1人、2人の大関は休場と大負けの体たらく。上位陣に御嶽海に続く安定した力士が伸び悩んでいるのが物足りない。朝乃山の復帰が待たれるが、協会は満期まで責任を取らせるつもりなのだろうか。「罪を憎んで人を憎まず」と皮肉のひとつも言いたいところだ。
何はともあれ新大関の運びとなりそうだが、出羽海部屋からの大関誕生は三重ノ海以来47年ぶり。私も出羽海育ちだから今回の御嶽海昇進はうれしい限りである。今場所は私は不覚にも4日間「はやわざ」を休んでしまいました。理由は体調面ではなく精神的なもの。毎日報道されるコロナ感染者の数の増加にうんざりさせられてしまいました。
次第に外出が嫌になってしまいました。ただそれだけです。それでは今場所もお世話になりました。春場所までごきげんよう。(元横綱)
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