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朗読CD 耳に名作お届け 視覚障害者向けに金沢の団体

2022年1月24日 05時00分 (1月24日 09時56分更新)
全国の視覚障害者協会などに寄贈する朗読CDを手に持つ、表川なおきさん(左)と高輪真知子さん=金沢市大手町で

全国の視覚障害者協会などに寄贈する朗読CDを手に持つ、表川なおきさん(左)と高輪真知子さん=金沢市大手町で

三文豪作品など収録「同じ感動共有したい」

 金沢市で活動する「朗読小屋 浅野川倶楽部」は、全国の視覚障害者協会や点字図書館などに朗読のCDを寄贈するプロジェクトを進めている。発起人である事務局の表川なおきさん(46)は、自費で文学作品の朗読のCDを制作し「朗読は声だけなので、視覚障害者も隔たりなく楽しめる。同じ感動を共有したい」と話す。 (郷司駿成)
 CDには、徳田秋声や泉鏡花、室生犀星の三文豪をはじめ郷土作家のほか、江戸川乱歩や太宰治らの七十九作品を収録。昨年十二月に全国にある約百カ所の関係施設にメールなどで告知したところ、北海道から九州まで十三カ所への寄贈が決まった。
 今回の活動には表川さんの苦い記憶が背景にある。約二十年前、小松市の寺で開かれた朗読の出前公演で、視覚障害者の中年男性に出会った。男性から「朗読を録音していいか」と聞かれたが、軽い気持ちで断ったという。「何回も聞いて楽しみたかったかもしれない。ひどいことをした」と、心に引っ掛かっていた。
 同倶楽部はコロナ禍で、動画投稿サイト「ユーチューブ」で朗読を配信しており、音声データが残っていた。昨秋には東京都の日本点字図書館にデータの寄贈を提案。さらに活動を全国に広げようとしたところ、相手から貸し出しができるCDがいいと返答があった。
 「良いことだから、あとには引けない」。表川さんは自費でのCD制作を決めた。現時点での制作枚数は約四百七十枚で、二十万円ほどかかる見込みだが、音声に入ったノイズを除去する作業を進め、今春までに完成品を贈ることを目指している。
 同倶楽部代表の高輪真知子さん(71)は「多くの人に三文豪の作品に親しんでもらいたい。読み人としていい作品を伝えていくチャレンジだと思う」と語った。

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