<らいぶらりー> 『おどりトラ』 韓国・朝鮮の昔話
2022年1月21日 05時00分 (1月21日 09時50分更新)
◇金森 襄 作 再話
◇鄭●香 画
◇福音館書店 品切れ中
昔々、山奥にすむトラたちのなかに、仲間から「おどりトラ」と呼ばれ、四六時中踊っているトラがいた。
ある日仲間での狩りの最中に、おどりトラが突然踊りだしたせいで獲物を逃がし、怒った仲間はおどりトラを山から追い出した。
その後、技をみがき、あの村、この町と踊りまわっていたおどりトラは、昔の仲間が懐かしくなって山へ戻ってきた。
仲間と再会祝いのための獲物を探しに行って、きこりを発見。きこりは柳の木に登って逃れるが、トラたちは下から順に仲間の背に飛び乗る「トラばしご」で、どんどん木を登ってくる。
トラが迫るなか、きこりがこの世の思い出にと柳の枝で作った笛を吹くと、はしごの一番下で「うごいちゃいけない、おどっちゃいけない」とこらえていたおどりトラの手足がむずむずしはじめて…。
大好きなものの誘惑にあらがえず、現実を忘れ没頭し失敗してしまうおどりトラに親しみを覚えます。韓国・朝鮮の伝統的な技法で描かれた挿絵も、ひょうきんなおどりトラの魅力を伝えています。(富山短期大非常勤講師 高浪郁子)
※文中の●は王へんに叔
関連キーワード
おすすめ情報