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見えなくても 星空そこに 全盲 木下さん 障害ある仲間に解説

2022年1月21日 05時00分 (1月21日 10時14分更新)
宇賀神曜子所長(左)とともに冬の星空を解説する木下真由さん=加賀市山中児童センターで

宇賀神曜子所長(左)とともに冬の星空を解説する木下真由さん=加賀市山中児童センターで

  • 宇賀神曜子所長(左)とともに冬の星空を解説する木下真由さん=加賀市山中児童センターで
  • 投影後にビーズや竹ひごで立体的に示した星座図を触って確かめる男性(左)=加賀市山中児童センターで

山中のプラネタリウムで心込め

 約七年前に病気で視力を失った加賀市の木下真由さん(46)が二十日、同市の山中児童センターでプラネタリウムの解説員を初めて務めた。お客さんは、同じように視覚障害がある仲間たち。満天の冬の星空が目に浮かぶように一つ一つの言葉に心を込めて解説し、星空の美しさを分かち合った。(小室亜希子)
 木下さんは三十代半ばごろから体のだるさや視力の低下を感じるようになった。後に脳腫瘍と分かり、三十九歳の時に手術を受けたが、そのころにはもうほとんど目が見えなくなっていた。術後の経過は順調だったが、視力は戻らず、現在は明るさがぼんやりと分かる程度という。
 昨年四月から週一回、山中児童センターで補助職員として働いている。館内には県内最古のプラネタリウムがあり、宇賀神(うがじん)曜子所長が「解説員をしてみる?」と打診。木下さんは「やりたい」と即答した。星の知識はほとんどなかったが、一から学ぶうちにどんどん興味が湧いていった。
 この日は視覚障害者ボランティアサークルの仲間たち五人が訪れた。夜八時ごろの星空を投影する中、オリオン座の星座絵では「すごく強そうな、迫力のある男性が目の前に描かれています」「右手にこん棒、左手にはライオンの毛皮。三つ星はちょうどベルトのあたり」と目に浮かぶように表現。投影が終わると、温かい拍手に包まれた。
 病気になる前は看護師として働いていた木下さん。大好きな仕事ができなくなったことが、つらくて仕方がなかった。縁あって児童センターで働くことになり「子どもたちも職員の皆さんもいい人ばかり。家でできないことはいっぱいあるけど、ここへ来るとパワーをもらえる。また頑張ろうと思える」と感謝する。
 宇賀神さんは数年前、幼稚園の団体観覧で視覚障害のある園児に接し、「目が不自由でも楽しめるプラネタリウムができないか」と考えていた。「木下さんなら伝え方をわかってくれる」。声の心地よさもぴったりだった。児童センターの日常でも「やんちゃな子が、木下さんをそっと見守っていることも。こちらもほっこり幸せな気持ちになって、たくさんの感動や学びを得ている」と話す。
 観覧した竹内和信さん(68)は「見えない僕らが見るのも、見えない木下さんが解説するのも不思議」と話しながら「星空が想像できた。春や夏の解説も聞きに来たい」と笑顔。児童センターでは手で触って分かる星座図の試作にも取り組んでいる。今後も視覚障害のある人も楽しめる投影に工夫を重ねていく。

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