勝負のカギは縦パス…森保監督が得点力不足打開へ求めるものは縦に速い攻撃とリスク管理の両立
2022年1月20日 18時24分
◆コラム「大塚浩雄のC級蹴球講座」
W杯アジア最終予選の中国、サウジアラビア戦に向け、日本代表が1月17日から千葉県内で始動した。今回は国内組19人によるコンディション調整および新戦力発掘合宿。久々に報道陣に全面公開となったので、今回と次回のC級蹴球講座は合宿の内容をリポートしたい。
初日から3日間通ったが、3日目の練習で攻撃に重点を置いたメニューが用意されていた。大迫、武藤、上田、荒木の4人をトップに指名。攻撃側2人がDF1人を相手にダイレクトでパス交換しながら、マークを背負った1トップに縦パスを入れ、そこから攻撃3人対守備2人による攻撃練習が始まった。
その後、縦80、横68メートルの変則ピッチで10人対10人+GKのゲームが行われた。自陣と相手陣内で5人対5人に分かれ、自陣にいる攻撃側のDF5人はダイレクトパスでポゼッションし、相手陣内にいる味方に縦パスを入れる。そこから先は攻撃陣5人がフリータッチで相手ゴールを狙う。素早いパス回しでポゼッションし、ワイドにボールを動かしながら、前線の味方に縦パスを入れる。パスが通らずにボールを失った時、さらにボールを奪った後の攻守の切り替えを厳しく要求。リスク覚悟で縦に速い攻撃を求め、同時にリスク管理も求める。
森保ジャパンの得点力不足は深刻だ。アジア最終予選6試合でわずか5得点。B組6チーム中5番目。得失点差+2はサウジアラビア、オーストラリアに次いで3番目。グループ2位ではあるが、得失点差の争いになれば3位に落ちる可能性もある。
最終予選に入って相手のプレッシャーが厳しくなり、トップの大迫が孤立し、いい形で縦パスが入らなくなっている。また、いい縦パスが入らないがゆえにバックパスや横パスが多くなり、攻撃がスローダウンして、その間にブロックを形成されてしまう。
5得点のうち、4点がサイド攻撃からという現実も見逃せない。中央のコンビネーションが機能しないため、結局、サイドからのドリブル突破に頼らざるを得ない状況だ。
今回の合宿で、ゲーム形式の練習を行うと、いい縦パスを受けたときの大迫の存在感は際立っていた。自ら決めるだけでなく、周りの選手を生かす。おそらく、森保監督は大迫を軸にした布陣を想定しているだろう。問題は、中国戦に向けて海外組が合流した時、短時間でどこまで意思の疎通を図れるか。
中国は守りをガチガチに固め、カウンターを狙ってくるだろう。サイドから放り込むだけでは、はね返されるだけ。崩すためには縦パスからの高速パスワークで中央突破を狙う必要がある。受け手の動き出し、出し手のパスの狙い。勝負のカギは縦パスにある。
◆大塚浩雄 東京中日スポーツ編集委員。ドーハの悲劇、94年W杯米国大会、98年W杯フランス大会を現地取材。その後はデスクワークをこなしながら日本代表を追い続け、ついには原稿のネタ作りのため?指導者C級ライセンス取得。40数年前、高校サッカー選手権ベスト16(1回戦突破)。
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