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猟師に愛された「池田かんじき」発見 白鳥の河合さんが複製作りに挑む

2022年1月19日 05時01分 (1月19日 15時52分更新)
未使用の池田かんじき(左)を持つ河合さん。自分でも複製品(右)を作った=郡上市白鳥町で

未使用の池田かんじき(左)を持つ河合さん。自分でも複製品(右)を作った=郡上市白鳥町で

 郡上市大和町大間見の故池田利雄さんが三十年ほど前まで作り続け、雪山に入る猟師たちに愛用された「池田かんじき」が、市内の民家で未使用のまま見つかった。山の木を巧みに加工した作品は軽くて耐久性に優れ、かつては福井県の猟師にも広まった。発見した建築業河合隆治さん(64)=郡上市白鳥町=は「こんなに使いやすいかんじきはない」とほれ込み、複製品作りに挑んでいる。
 池田かんじきは直径八ミリの木の枝二本をU字形に曲げ、針金とロープで固定してある。幅二十七センチ、長さ三十六センチと大きいが、重量は片足で約二百二十グラムしかない。深い雪でも歩きやすいよう、前部を上に曲げてあるのが特徴だ。猟友会員の河合さんは昨年秋、整理を任された古民家の壁につるされていたかんじきを見つけ、持ち主から譲り受けた。
 河合さんは「若いころ、池田かんじきはとても有名だった。雪が多い郡上では必需品なので、猟期にはみんなが着けていた」と話す。河合さんは数年前にも同じ作品を入手し、約十組の複製品を試作した。しかし、池田かんじきの完成度には遠く及ばず、今も材料の木の種類や加工方法の秘訣を探っている。
 作者の池田さんは太平洋戦争末期、陸軍の兵士としてルソン島の激戦を生き抜いた。大和町に戻った後は林業や農業などに従事し、二十三年前に八十二歳で亡くなった。次男の俊司さん(69)によると、かんじき作りは六十歳を過ぎてから生活費を稼ぐために始め、十五年間ほど岐阜、福井県の銃砲店に持ち込んでいた。やや小型の渓流釣り用かんじきも作り、各地の釣具店で販売したという。
 「おやじは狩猟と川釣りが好きだった。自分自身が使うかんじきだから、いろんな工夫を重ねていたのだと思う。木の枝を煮て形を整え、母と一緒に組み立てていた姿を覚えている」と俊司さん。今は金属製かんじきやスノーシューが出回っているが、郡上では昔ながらの木製かんじきにこだわる猟師が多い。「池田かんじき」は、伝説的な名品として語り継がれている。
 俊司さんは「山で使わなくなっても、大切に飾られているおやじのかんじきを見ることがある。古い品物だが、小柄で働き者だったおやじのことを思い出します」と話した。
 (中山道雄)

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