【北の富士コラム】負けた御嶽海もぼうぜんと立ち尽くし、私は自分の見る目のなさに恥じ入るばかり
2022年1月19日 05時00分
◇18日 大相撲初場所10日目(両国国技館)
10日目、御嶽海敗れる。
今場所はこれまで万全の相撲で勝ち進んできた御嶽海が、元気のなかった北勝富士に良いところなく敗れ去った。この日はラジオの解説だった。アナウンサーからこの一番、波乱があるやなしやの質問が出る。私は胸を張って「北勝富士が勝てる要素がない」と言い切った。
確かに今までの対戦成績は拮抗(きっこう)しているが、今場所の2人の相撲内容を振り返っても、よもや御嶽海が負けることは考えられなかった。物事に絶対はないと言われるが、この一番に限っては自信を持って、御嶽海の勝ちを宣告してしまった。
立ち合い北勝富士は左に体をずらす悪い癖がある。これまで何度も注意をしてきたが、いったん付いた癖はなかなか直るものではない。私がいつまでも遊び癖が直らないのと同じである。
話を戻そう。それだけに御嶽海は右は黙っていても差せると思ったのは間違いない。ところが北勝富士は真っすぐに当たり、左から強烈におっつけ、右も絞り上げ、挟み付けて一気に前に出た。これは御嶽海も予想していなかっただろう。重い腰を誇る御嶽海の体が棒立ちとなり、残る体勢を作る間もなくそのままあっさり土俵を割った。
私は自分の目を疑うだけ。負けた御嶽海もぼうぜんと立ち尽くし、私は自分の見る目のなさに恥じ入るばかり。「まさか」と言う坂があるとは聞くが、まさにその「まさか」である。だから私はあれほど御嶽海は信用できないと言ったではありませんか。
今更何を弁解してもダメです。今までも予想を外すことは何度もありますが、今回のはひどすぎます。11日目からどの面下げて解説すればいいのか。いっそ腹でも切りましょうか。まあ、冗談はこの位にしておきましょう。たかが相撲じゃありませんか。こんなことで死んでいては命がいくつあっても足りません。これで優勝争いが振り出しに戻りました。余計面白くなったと思っていただけたら幸いです。
この日は幕下の熱海富士が勝って、十両昇進に望みをつなぎました。次の一番は十両と対戦させたいと思っています。負けると幕下陥落と入れ替えの相撲になったら、追う方が強い。まるで自分の弟子のように気になるが、熱海富士はまだ19歳。今からそんな小さいことは考えないで、悔いのない相撲を取ることです。新十両の北の若は勝ち越しを意識し過ぎ情けない相撲だった。
さて、この日もすごい数の感染者が出たようです。相撲を観戦に来ていただくのはありがたいことですが、こんな時だから家でテレビ観戦されたらいかがでしょう。私なら臆病だからそうします。
それでは夕食を食べます。9日目に作ったカレー。少しルーを柔らかくし、ナスとピーマンを素揚げし野菜たっぷり。そうです、サッポロ名物のスープカレーと思ってください。コロナ禍に負けないようにガッツリ食べます。(元横綱)
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