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【石川】「駆け込み寺」困窮者に住居 小松の前住職・翫さん 生活支援  

2022年1月17日 05時00分 (1月17日 10時44分更新)
生活困窮者に住まいや食事の提供を申し出る正光寺前の張り紙=石川県小松市で

生活困窮者に住まいや食事の提供を申し出る正光寺前の張り紙=石川県小松市で

 県内外から相談「いつでもおいで」

 石川県小松市上牧町の真宗大谷派正光寺が、生活困窮者に十四年前から住居や食事の提供を続けている。これまで自宅や収入、家族を失うなどした十五人ほどが利用した。元参院議員で前住職の翫(いとう)正敏さん(74)は「社会には共助が足りていない。余力があれば困っている人を助けるのは寺の当然の務め」と手を差し伸べる。 (井上京佳)
 「食事を求める方、又宿泊を希望する方は、いつでもおいで下さい」。寺の看板と門に張り出された紙にはこう記されている。これまで市内外から助けを求める人が訪れ、翫さんが話を聞き、希望者には住まいを提供してきた。
 市内に所有する住宅二軒を男性用、女性用に分けて使い、現在六人が利用する。利用者は一人一部屋が割り当てられ、食事も付く。翫さんと息子の省吾さん(44)、協力者の女性が世話役としてハローワークや買い物への付き添い、生活保護の申請も手助けする。仕事に就いて生活を立て直し、自立した人は複数いるという。
 使用する住宅の一つは元暴力団組長宅で、十四年前に周辺住民らの声を受け、翫さんと金沢市の不動産会社が分割して買い取った。当初は囲碁や将棋などができる地域の交流施設にしようと検討していたが、その頃、翫さんが小松駅周辺にいたホームレスの男性を見かけ、声を掛けたことをきっかけに、困窮者の住まいにすることにした。住宅の一部は一般向けの賃貸にして、その家賃収入や利用者が出せる範囲の“お布施”で運営してきた。しばらくして女性に貸し出すための二軒目の住宅も取得した。
 翫さんは先々代の住職だった父の敏(はや)さんが長年保護司を務めていたことから「お坊さんは社会活動をするものだと自然に思っていた」と話す。三十歳で住職になった翫さんは三十五歳から二十五年間、金沢刑務所の教誨(きょうかい)師を務め、受刑者と向き合った。「刑務所の外に出たら、彼らはどうしているのだろうという思いがあった」。さまざまな理由で社会生活を送ることが難しい人への援助に、自然と意識が向いた。
 長年の取り組みが知られ、県外から相談を受けることもあるという。翫さんは「周辺でホームレスと分かる人は最近は見かけなくなったが、困った人はいつでも訪ねてほしい」と話している。問い合わせは、正光寺=電0761(22)2995=へ。

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