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呪われた日本バンタム級…2年余タイトル戦待った男 村田諒太流イメトレ強化で決着のリングへ

2022年1月15日 11時32分

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大嶋剣心

大嶋剣心

 国内ボクシング界に定着してしまった“暗い言葉”がある。「呪われた日本バンタム級」―。王座決定戦などで体重超過や負傷が相次ぎ、2019年7月を最後に約2年半も“決着試合”がなく、いつしかそう呼ばれるようになった。2月5日の王座決定戦(東京・後楽園ホール)では、同級2位の大嶋剣心(26)=帝拳=が同級1位の沢田京介(33)=JBスポーツ=と対戦予定。2年3カ月もタイトル戦を待ち続けた異色のボクサーは“呪い”との戦いにも挑む。
   ◇   ◇
 いつになっても巡ってこない“順番待ち”が、ようやく終わろうとしている。サンドバッグ、シャドーボクシング…。待望のリングと日本王座挑戦を控え、ジムワークに取り組む大嶋の目は光に満ちていた。
 「待ち望んでいました。気持ちがめちゃくちゃになってグダついた時もあったけど、(王座決定戦引き分けでさらに待つことが決まった)去年の7月から逆に気持ちが入った。この半年は練習ですごく追い込めてます」
 自身が最後に試合をしたのは19年11月だった。その時点で日本2位。決定戦で誕生した新王者は、初防衛戦で最上位ランカーとの指名試合が義務付けられる。新王者が決まった場合、大嶋はすぐに王座に挑戦できる立場だった。
 だが、そこから新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言、前王者のタイトル返上、王座決定戦中止と“トラブル”が相次ぎ、タイトル戦のリングに立てない状態が続いた。昨年11月、王座決定戦に出場予定だった当時2位の定常育郎(T&T)が減量失敗で棄権。大嶋が繰り上がりで出場権を手にしたが、すでに前戦から2年が経過していた。
 所属する帝拳ジムはボクシング界でもトップクラスの厳しい感染対策を取る。昨夏までは世界王者クラスを除き、試合の決まっていない選手のジムワークは週3回までしか認めなかった。
 その間、磨いてきたのがイメージトレーニング。影響を受けたのは同じく2年2カ月も試合ができていない同門のWBAミドル級王者・村田諒太(36)。村田は国内に互角の練習相手がいないため、アマ時代からイメージトレーニングを強化の大きな柱にしてきた。
 大嶋が実感を込めて言う。「村田さんが練習に取り組む姿を見て、イメージする大事さを学んだと思います。試合ができない緊急事態宣言中は実戦練習もできない、ミットも持ってもらえない、公園でシャドーするしかない。そんな中でイメージの大事さが分かりました」
 元自衛官、それも任期のない一般陸曹候補生からの転身だ。「国家公務員だったので、辞める時は親にも泣かれた。でも、自分のやりたいことは何だろう、と自分を見つめ直しました」と6年前の上京時を振り返る。
 日本王座挑戦は大嶋が初めて手にした大きなチャンス。「この2年間があったから勝てたと言えるようにしたいです」。異色の経歴を持つ26歳のボクサーは、ため込んだ思いの全てを2月5日のタイトル戦にぶつける。
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 ▼大嶋剣心(おおしま・けんしん) 1995年8月14日生まれ、青森県弘前市出身の26歳。身長168センチ。練習は週1度の弘前ボクシングクラブに小学3年から通う。県立弘前工で本格的に競技を始め、3年連続で全国高校総体に出場。アマ通算27勝13敗。高校卒業後は一般陸曹候補生として自衛隊に入隊。弘前駐屯地の第39普通科連隊に配属されたが、2年で除隊。2016年1月に帝拳ジム入門。同6月にプロデビューし、通算7勝(3KO)1敗1分け、右ボクサーファイター。家族は母と兄。
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 日本バンタム級タイトルが「呪われた」と呼ばれるようになった“出発点”は2018年1月。当時王者の赤穂亮(横浜光)が同級1位の鈴木悠介(三迫)を迎える防衛戦で減量に失敗して棄権となり、試合ができなくなったことから始まる。
 以降、出場選手の体重超過による棄権が3度、負傷や病気による試合中止が2度、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言による中止が2度、試合中の負傷による引き分けが1度。この4年間で、正規王座の懸かる試合として勝負がついたのは3試合だけだった。

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