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加賀僧兵の強訴 演劇に 源平期の「涌泉寺事件」伝えたい

2022年1月15日 05時00分 (1月15日 10時09分更新)
脚本について打ち合わせする出演者たち=金沢市新保本で

脚本について打ち合わせする出演者たち=金沢市新保本で

  • 脚本について打ち合わせする出演者たち=金沢市新保本で
  • 涌泉寺事件を題材にした演劇のチラシ=金沢市新保本で

小松の住民、金沢の劇団が来月上演

 平家が権勢を振るっていた一一七六(安元二)年、加賀の国の僧兵らが横暴を働く代官を朝廷に強訴した「涌泉寺(ゆうせんじ)事件」を描く演劇の制作が進められている。取り組むのは事件ゆかりの地の小松市鵜川、遊泉寺、立明寺三町でつくる鵜遊立(うゆうりつ)地区の住民らと、金沢市の劇団羅針盤。二〇二三年に迎える「加賀立国千二百年」の節目を前に、地元の歴史を舞台を通じて紹介する。 (井上京佳)
 涌泉寺事件は、朝廷から加賀の国に派遣された国司の代理藤原師経(もろつね)が、現在の遊泉寺町にあったとされる、白山信仰の八寺院「白山中宮八院」の一つ涌泉寺を焼き払い、怒った白山中宮八院の僧兵が、延暦寺の僧兵とともに、朝廷へ強訴した事件。朝廷は、師経と兄で国司の藤原師高(もろたか)に、配流の罰を下した。涌泉寺喧嘩(けんか)、安元事件とも呼ばれ、軍記物語の「平家物語」や「源平盛衰記」にも記録が残る。
 小松市博物館によると、地方の僧兵が強訴して朝廷を動かした涌泉寺事件は、白山中宮八院の権力の強さを示す。中央の国司による地方統治を揺るがし、戦国時代の加賀一向一揆の支配にもつながるという。
 劇の制作は、まちおこしの団体「鵜遊立地域活性化委員会」が、劇団羅針盤に脚本、上演を依頼した。同委員会の田中麻衣子さん(36)は「涌泉寺事件は地元の人にあまり知られていないと感じる。小さなまちに日本を揺るがす事件があったことを知ってほしい」と話す。
 劇は「涌泉寺喧嘩事」の題で、劇団員三人とカンフーサークル「武練隊」のメンバーでもある田中さんら計五人が演じる。出演者の顔合わせが七日、金沢市の劇団の稽古場であり、脚本家で代表の平田知大さん(44)が、事件の内容や脚本の方針を説明した。「朝廷まで僧兵がみこしを担いで訴える決意がすごい」「当時の熱い魂を伝える作品に」などと意見が出て、熱を帯びた。平田さんは「忘れかけられている歴史を面白おかしくよみがえらせたい」と意気込む。
 二月二十七日に小松市立明寺町のハニベ巌窟院で初演する。午前十一時と午後二時からの二回上演。各回定員三十人。チケットは一般千円、高校生以下五百円、未就学児は入場できない。WaiWaiまつりと、劇団羅針盤のホームページから予約できる。

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