読み書き補う工夫を 学習障害と代読 星稜大・河野教授に聞く

2020年5月6日 02時00分 (5月27日 03時56分更新)

学習障害に対する教育支援のあり方を語る河野俊寛教授=金沢市御所町の金沢星稜大で

「書き覚えることが苦行」

 三月に行われた県立高校入試で、読み書きの学習障害(LD)がある生徒に問題文を「代読」する対応が初めて取られたことが、関係者への取材でわかった。LDがある児童生徒は普段どんな環境で学んでいるのか。実情に詳しい金沢星稜大の河野俊寛教授(特別支援教育)に聞いた。(阿部竹虎)
 -LDの児童生徒はどれぐらいいるか。
 「国が二〇一二年に実施した調査では、小中学校の通常学級にいて、読み書きに著しい困難がある児童生徒の割合は2・4%とされた。書けないのに『何度も書いて覚えよう』というのは彼らにとって苦行だ。一部の教員はそういう方法しか知らず、善意で頑張れと言ってしまう。LDの生徒が不登校になる割合が高いと指摘する研究結果もある」
 「字を書くのにエネルギーを使ってしまい、疲れ果てて考える時間がなくなるのも課題だ。(LDに配慮して)授業中に書かない代わりに『聞いて考えなさい』と指導する学校もある。文字という道具を使いこなせないなら、別の道具を使えばいい」
 -具体的にどんな配慮が必要か。
 「ホームルームで連絡事項を書き写しているうちに他の子がみんな帰ってしまい、一緒に帰ることができないというのはよくある事例だ。教諭が黒板の板書を写真に撮って印刷して渡すなど、さまざまな方法がある」
 「現在は学校側が積極的にタブレット端末の利用を勧めるようになっているが、読み書きを全て補えるようになるという過剰な期待は危険だ。一人一人に合った適切な支援が必要になる」
 -入試を受ける際に求められる配慮は。
 「自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)は認知が進んでいるが、LDを専門に診られる医師はぐっと少ない。診断がなければ入試で配慮が得られず、結果として不利益を受けるのに、検査を受けられる機関そのものが少ない」
 「代読が受験で有利に働くと考える教育関係者もいる。残念だ。合理的配慮の考え方がまだ浸透していない。多くの場合、仕方なく健常者と同じ条件で入試を受けているのが実態ではないか。(代読をしてもらえば)希望する道に進めたのに、進めなかったという理不尽さはあると思う」

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