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清掃おじちゃんはヒーロー 5歳・桜井翔太ちゃん 収集日追い掛ける

2022年1月12日 05時00分 (1月12日 10時11分更新)
週2回の朝、ごみ収集車と清掃員の山本正人さん(右)を追い掛ける桜井翔太ちゃん=金沢市で

週2回の朝、ごみ収集車と清掃員の山本正人さん(右)を追い掛ける桜井翔太ちゃん=金沢市で

「かっこいい」週2回心待ち

 燃やすごみの収集日の朝、金沢市内にごみ収集車と清掃員を追い掛ける男の子がいる。幼稚園に通う桜井翔太ちゃん(5つ)だ。二〇二〇年四月から週二回、母を連れて約四十分間、道路を行ったり来たり。「おじちゃん、かっこいい」と清掃員の作業を見つめる翔太ちゃんの姿は、まるで憧れのヒーローを目の前にしているかのようだ。 (岩本雅子)
 昨年末の雨が降る寒い朝、翔太ちゃんは清掃員の「おじちゃん」からもらった自動車柄の傘を差し、元気に外に出た。午前八時半、速度を落とした一台のごみ収集車の窓が開いた。「おはよう、翔太!」と清掃員が笑顔で手を振った。翔太ちゃんも手を振り「ぐるって回って戻ってくるよ」「次はこっち」と話しながらごみ収集車を先回り。ごみステーションで車が止まればじっと清掃員の作業を見つめていた。
 翔太ちゃんが「おじちゃん」と呼ぶ清掃員は山本正人さん(63)=内灘町。金沢市からの委託でごみ収集などを担う北伸運輸(同市)で主に清掃員として働く。「こんなに長くついてきて、根気のある子は初めて。妻に『月、木曜日は楽しそうだね』と言われる。ここの地域だけは他の人に譲りたくない」と話す。
 翔太ちゃんがごみ収集車の追い掛けを始めたのは三歳のころ。新型コロナウイルス禍で外出自粛が叫ばれた時期に、母のますみさんがごみ捨てに行くと「僕も行く」とついてくるようになった。そこで山本さんに手を振るようになり、好奇心で全ルートを追い掛けるようになったという。
 さらに関心を深めたのは市内の図書館で「ゴミはボクらのたからもの」という絵本を読んだこと。ごみ清掃員のおじさんは町をきれいにするヒーローで、ごみ処理場の機能や分別について描かれている。それを読んだとき、「おじちゃんが翔太のヒーローになった」(ますみさん)。
 「ごみ収集車の後ろには604って番号が書いてある。資源(ごみ収集)は別の車が来る」と翔太ちゃんは、見て聞いて学んだ知識を口にする。自宅には段ボールで自作したごみ収集車や、多種多様なごみ収集車の写真がずらり。ますみさんは「『今、おじちゃん何してるかな』と翔太がよく言う」と笑う。
 幼稚園の通園路で見たごみ収集車を数えるのも翔太ちゃんの日課。初めて熱中することを見つけた翔太ちゃんの姿を、ますみさんは山本さんに宛てる手紙にこう書いている。「翔太は、目を輝かせるようになりました」

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