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自然体の新成人 越前町出身アーティスト 西野カインさん 書籍挿絵、個展で活躍 

2022年1月10日 05時00分 (1月10日 10時07分更新)

鮮やかな赤のドレス姿で成人式に参加した西野さん=9日、越前町小曽原の越前陶芸村で


 

 晴れわたる世界にそろそろ行こうかな 

 県内各地で九日、成人式が開催された。越前町出身で、福井や東京などを拠点に活動するアーティストの西野カインさんも、地元で新成人の仲間入りをした。これまで県内外で個展を開催し、昨年は全国で出版された書籍の挿絵を担当するなど、活動の幅を広げている。「今年もいつも通り、私らしく芸術をしていきたい」と自然体で晴れの日を迎えた。(波多野智月)
 漫画家を目指していた父親の影響で幼少期から絵を描き始め、十四歳から会員制交流サイト(SNS)に投稿し始めた。十七歳の時に東京で初めて個展を開き、昨年は福井でも開催した。白黒のペン画にわずかに色を入れるシンプルで繊細な画風が特徴。定規を使わずに描く美しい直線にこだわる。
 十七歳の時には、絵が完成するまでの過程を路上などで見せるライブペイントだけで旅費を稼ぎ、東京や大阪、名古屋などを回り始めた。お金を持たない旅は「めっちゃ怖かった」が、普段の作品作りとは違うダイナミックな表現や観客との触れ合いなど、面白いと感じる部分も多かったという。
 孤独や命といった題材をテーマに作品を描いてきた。十八歳の時に人間ならではの死の自覚について描いた作品「私達は、いつか死ぬことを知っている」は、特に大きな反響があった。
 「部屋の中で、一人で暗いことばかり考えている。でもそれが私の描きたいことなので」とあっけらかんと話す。

西野さんの作品「そろそろ行こうかな」=本人のツイッターから

 
 昨年十二月二十四日には、岩波ジュニア新書から初めて挿絵を担当した書籍「自分を変えたい」が出版。表紙には、雨の降る傘の中にいる主人公と、晴れわたる外の世界の対比が印象的な「そろそろ行こうかな」という作品を描き、他にも八枚の新作を書き下ろした。
 九日に地元の越前町であった成人式には、真っ赤なサテンのドレスを着て参加した。「いわゆるまっとうな、安全地帯から物を言う大人にはなりたくない」と力を込め、「子どもたちから『この人に褒められたらうれしい』と思ってもらえるような人になりたい」と決意を新たにした。
 ◇ 
 県教委によると、今年の県内の新成人は前年比二十七人減の七千八百六十人。統計が残る一九八二(昭和五十七)年以降で過去最少となり、ピークだった九四(平成六)年と比べて四割近く減った。九日は県内十四市町で成人式が開かれた。勝山、坂井、池田の三市町の成人式は三月二十日に開催予定。

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