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二輪魂 地域と並走 鍛冶商店4代目 鍛冶輝吉さん(34)=金沢市

2022年1月9日 05時00分 (1月9日 11時39分更新)
地域密着をコンセプトにした新店での充実ぶりを語る鍛冶輝吉さん=金沢市茨木町で

地域密着をコンセプトにした新店での充実ぶりを語る鍛冶輝吉さん=金沢市茨木町で

 一九二二(大正十一)年創業の鍛冶商店四代目。オートバイや自転車全般の販売、修理を手掛ける。昨年八月、金沢市茨木町の鍛冶ビルに新店を構え店長になった。父修一さん(65)が営む同市入江の本店を行き来しつつ、新しい店の運営を担う。
 大学卒業後、建設機械の営業として働いてきた。五年ほど前、「家業を継ぐ必要はない」と言っていた二代目の祖父吉太郎さん=享年九十一=が他界し、考え始めた。「百年続く企業はそう多くはない。継いだほうがいいかな」
 ある日、父親に告げた。「会社辞めてきた。家を継ぐ」。相談すれば、いろいろと言われて決意が揺らぐかもしれない。先に行動に出た。父親は、了承してくれた。表情はあまり変わらなかったが、息子からはうれしそうに見えた。
 市内の専門店で三年ほど修業してから、自社ビルに出店。「地域に密着して、その人たちのニーズに合った自転車を準備できれば」と考える。コンセプトは「まちの自転車屋」だ。
 近くの遊学館高校で、生徒が使う自転車の無料点検や出張修理をする。会社員時代に培った営業戦略でもあり、地域密着の第一歩でもある。「最近、高校生が修理のために来店してくれるようになってきた」。そう手応えを語る。
 周辺では自転車店が少なくなり、地域の人から「近くにできて助かった」と言ってもらった。かなりの高齢になった近くの店の店主が、客を回してくれているらしいことも知った。そうして、地域とつながりができてきたことがうれしい。
 父親の店も手伝う。「自転車に関してはあまり言ってこないけど、バイクに関しては僕の師匠」と敬う。技術は、見て学ぶと心得ている。多くは語らない父の背中を追い掛ける日々だ。
 開店してみて、この仕事を選んで良かったか、と自問する。「小さいころからずっと見てきた仕事でもあるし、好きになってきた。お客さんにお礼を言われると、やって良かったと思えます」
 将来は自動車も含めた乗り物全般の修理を手掛けるつもりだ。とはいえ、まだ開店して半年。「まだまだ物足りないかなと。これからですね」。穏やかな笑顔で語った。(村松秀規)

【プロフィール】かじ・てるよし=1987年生まれ。星稜高校、金沢星稜大野球部で遊撃手として活躍。現在も早朝野球を楽しんでいる。


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