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焼津舞台に出身俳優ら映画 自分らしさ、葛藤描く

2022年1月8日 05時00分 (1月8日 05時02分更新)
映画「海の色は夢のつづき」の撮影の様子=長谷川夫妻提供

映画「海の色は夢のつづき」の撮影の様子=長谷川夫妻提供

  • 映画「海の色は夢のつづき」の撮影の様子=長谷川夫妻提供
  • 出演する永楠あゆ美さん(後列左)、長谷川直紀さん(同右)と、監督の後藤美波(南あさひ)さん=焼津市内で
 焼津市出身の俳優長谷川直紀さん(35)らが、同市を舞台にした映画「海の色は夢のつづき」を製作している。自身の夢と家業への責任との間で揺れる青年を描いた物語で、「自分らしい生き方」がテーマ。新型コロナウイルス禍で俳優業を中断された長谷川さん自身も向き合っている課題だ。浜松市出身の監督ら県ゆかりのスタッフと製作し、長谷川さんは同じような悩みを持つ人々を「少しでも勇気づけられたら」と話す。 (酒井健)
 映画の主人公・洋(ひろし)は、焼津特産のなまり節工場の後継ぎ。妻の早織(さおり)を伴って東京から帰郷した洋が、海中写真家になる夢と、明治時代から続く家業を継ぐ責任感の間で、悩みながら成長していくストーリー。
 「夢と家業を両立しようとして最初はうまくいかず、妻ともぎくしゃくしてしまう。でも、周りの人と助け合い、自分なりの答えを見つけていく」。企画、主演に加え、共同脚本も手掛けた長谷川さんは主人公について、そう説明する。
 漁師の家に生まれた長谷川さんは、東京の大学を卒業後、商社勤務を経て、俳優を志して新国立劇場の演劇研修所に入所。修了後は芸能事務所に所属し、昨年のNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」にも、役人の役で出演した。
 しかし、コロナ禍で俳優の仕事が減り、東京との二拠点生活から焼津に帰郷。父らの定置網漁を手伝う一方、「仕事がなければ、作ろう」と、妻で俳優の永楠(えな)あゆ美さん(35)と「静岡発」の映画製作を決意した。浜松市南区出身の後藤美波監督(28)=本作の名義は南あさひ監督=らと、昨年七月に撮影を始めた。
 作中でも妻の役を演じる永楠さんは元宝塚歌劇団。「人生に正解はないと思う。自分で決めた道を信じて進むしかないけれど、迷いの中にいる人の背中を、そっと押すことができたら」。東京出身だが、焼津の「ゆったりした雰囲気」が気に入り、夫の故郷への移住を決めたという。
 作品は四十五分。ロケは終わり、現在は編集作業中。初夏以降、県内の複数館での上映を目指している。
 長谷川さん自身の将来も「模索中」。だが「静岡に住んでいても、こうして映画をつくることができる。俳優一本でやるとか、今までのあり方、働き方にとらわれない生き方ができたら」と話す。今回を皮切りに、静岡県を舞台にした「静岡三部作」を製作することが今の目標だ。
 映画の劇場公開や海外映画祭への出品などに向けたクラウドファンディングも十一日まで実施している。詳細は「海の色は夢のつづき」で検索。

◆女性の立場問う要素も

 監督と共同脚本を務めた後藤さんは、故郷の浜松市を舞台にした短編の「ブレイカーズ」に続く、県内が舞台の二作目の映画となる。
 後藤さんは浜松西高から東京大文学部に進学。「映画は、幅広い地域や世代の人たちに、身近に感じてもらいやすい」と、米ニューヨークのコロンビア大大学院で映画製作を学んだ。
 二〇一七年の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」の脚本コンペで最優秀賞を受賞。この脚本が、高校生たちの社会への反抗と友情を描いた青春劇「ブレイカーズ」になった。
 映画監督としてのスタンスは「自分の問題意識や理念を乗せ、作品にしたい」。例えば、今回の作中で「(主人公の)親戚の集まりがあるが、女性だけが働き、男性はずっとビールを飲んでいる」。女性の役割や立ち位置について、気づいてもらいたい要素が盛り込まれているという。
 映像では焼津の陸上の景色に加え、撮影を担った沼津市の水中写真家・茂野優太さんがとらえた「海中の美しい景色」も見どころ。長谷川さんの海中での演技もあり「楽しんでほしい」とアピールする。

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