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がんばる コロナ禍を生きる<2> 元気と笑顔を高齢者へ

2022年1月8日 05時00分 (1月8日 05時02分更新)
動画配信用のカメラの前でポーズをとるシニア劇団浪漫座の皆さん=浜松市中区の西部協働センターで

動画配信用のカメラの前でポーズをとるシニア劇団浪漫座の皆さん=浜松市中区の西部協働センターで

 浜松市 シニア劇団浪漫座
 「画面の前の皆さん、こんにちは〜!」。昨年十二月、浜松市中区の西部協働センター。サンタクロースやトナカイに仮装した女性たちが、元気よくカメラに向かってあいさつする。市内を拠点にする「シニア劇団浪漫座」が、新型コロナウイルス禍での新しい活動として昨秋始めた「ユーチューブ」の生配信だ。
 メンバーは発声練習やサンバを披露し、配信を見ている高齢者福祉施設の利用者を盛り上げる。座長の阿部美幸(みゆき)さん(64)は「慣れないことだらけで、てんやわんやです」と笑顔で語る。
 浪漫座は二〇一〇年、演出と脚本を務める松尾朋虎(ともこ)(本名・交子(ともこ))さんの呼び掛けで、「シニアがシニアを元気に」をテーマに結成された。きっかけは前年に浜松アリーナ(東区)であった、国民文化祭での三方原合戦を題材にした劇だった。
 市民三百五十人が演じた大きな劇を、松尾さんが取り仕切った。老若男女が参加した中、一番元気で励ましてくれたのが、高齢者だったという。「シニアだけで劇団をつくれば、面白いのでは?」。すぐさまスーパーなどにポスターやチラシで募集をかけ、今日まで十年以上続いてきた。
 メンバーは現在、研修生を含めて五十四歳から八十五歳までの十二人。毎年秋ごろ定期公演を開くほか、冬から春にかけて高齢者施設への巡業公演を続けてきた。
 しかし、新型コロナの影響で、二〇年春から一年以上、公演を中止していた。集まれる人だけで稽古はしたものの、目標がない中、体や気分が乗らない日もしばしばあった。
 それでもここまで継続してきたのは、自分たちが楽しんでいる姿を見て、シニアに元気になってもらいたかったから。阿部さんは「施設の利用者から『生きてて良かった』と言ってもらえたり、職員が今まで見たことない笑顔を見せてくれたりする。それがメンバーの励みにもなるんです」と目を細める。
 ユーチューブでの配信は、コロナ禍での活動を模索する中で生まれた。浜松市の補助金を受け、月に一回、高齢者が一緒に楽しめる軽い体操やゲームを配信する。
 「浪漫座は歌って踊って、みんなに笑ってもらえる劇団。自分たちの人生を豊かにするためにも、大切な居場所なんです」と阿部さん。今日も高齢者に、元気と笑顔を届ける。
 文・山手涼馬
 写真・斉藤直純

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