個としてつながる 栃木の高齢女性コミュニティーで
2022年1月4日 11時18分 (1月4日 13時37分更新)
家族や血縁だけにとらわれず、新たなつながりで老後を前向きに生きる女性たちがいる。平均寿命が世界一ともいわれる日本の女性たちが、自由に自立して生きるために必要なこととは何か。「個」を強く意識して生きる女性たちを栃木県・那須の地に訪ね、そのヒントを探った。(小林由比)
「家」を守る役割 降りた 石井悦子さん(63)
「二十代から三世代同居してきた家で、義母をケアしつつ老後を送るものだと思っていた」。福島県白河市の石井悦子さん(63)が、その既定路線を離れることを決めたきっかけは、二〇二〇年三月の夫の急逝だった。
夫の実家は四世代以上前から続く農家。石井さん夫婦は、福祉施設で働きながら三人の子どもを育ててきた。「義父母も子どもの面倒をよく見てくれました」。だが、昨春、肺がんが判明した夫は、入院して約二週間で亡くなった。六十四歳だった。
夫を亡くしたショックを抱えつつ、介護の仕事に、認知症の義母のケア、自宅の維持。徐々に一人で家を担うことへの負担を感じるようになった。義母の排せつの失敗にイライラし言葉や態度に出したこともある。「介護職なのに、理性が働かなくなるほど追い詰められていました」
そん...
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