航空機開発エンジニア 三菱航空機 シルビア・ビアンキさん(「空飛ぶクルマ開発」関連)

2020年1月11日 16時56分 (10月6日 12時35分更新)

仕事について笑顔で語るビアンキさん=愛知県豊山町のMRJミュージアムで

 三菱航空機が取り組む国産ジェット旅客機「三菱リージョナルジェット」(MRJ)の開発は、現在2020年中の航空会社への納入をめざして急速に進められています。愛知県豊山町の同社オフィスで機体設計部長として働いているのが、イタリア出身のシルビア・ビアンキさん(43)。中学生記者が、英語も交えた取材に挑戦しました。

シルビア・ビアンキさん(左)を取材する中学生記者=愛知県豊山町のMRJミュージアムで

情熱こめた機体を世界へ

 「世界に飛ばすぞ! 国産ジェット」。大きくスローガンが張られた最終組立工場に、組み立て途中の「MRJ90」が2機並んでいます。国内外で生産された100万点に及ぶパーツが集約されるこの工場内が、今回の取材場所)。雨と風に見舞われる中、隣接する名古屋空港ビル内の同社オフィスからやって来たビアンキさんは「悪天候の中来てくれてとてもうれしいわ!!」と、イタリアの太陽のような笑顔で記者たちの緊張をほぐしてくれました。
 三菱航空機は社員約1600人中約300人が外国人。ビアンキさんは、空気の流れが飛行機に与える影響などを考え、安定飛行の仕組みの設計を得意分野とするエンジニアです。世界各国の自動車や航空機の開発現場で活躍し、一昨年に経験者として採用されて三菱航空機に入社。世界での商用運航に必要な日本政府の「型式証明」を取得するため、開発を監督しています。豊富な知識と経験を生かし、作業日程や費用、人の配置などを管理して200人をまとめます。会社が組織を見直す中で昨年12月にこの職務に就くと、急速に開発が進みました。

ミーティングで話すビアンキさん(中央右)=三菱航空機提供

全体見てチームまとめる

 日々、会議の連続です。問題の報告を受けると、すぐに解決策を協議します。ただ、「エンジニアになった当初は自分1人で何でもやろうとしていた。本で読んだ知識で大丈夫だろうと思っていたが、ミスをしてしまった」と振り返ります。自分の意見を伝え人の意見を聞かなければ、全体は見えてきません。作る物が大きくなるほど必要なチームワークを、失敗も経験しながら身に付けてきました。
 オリーブ畑に囲まれて育った幼い日、自作のたこが木に引っ掛かってしまいました。泣きながら見上げた枝越しの青空を、1機の飛行機が横切っていきます。「とてもきれいで、いつかこんなものを作りたいと思いました」。その夢を実現させている場所が日本です。「機体だけでなく部品供給も含めて航空機産業を構築するのは、世界的にもまれで、挑戦的なプロジェクト」と目を輝かせました。
 最後に、エンジニアをめざす若者に必要な3つの要素を教えてくれました。「curiosity(好奇心)、passion(情熱)、resilience(立ち直る力)。物事に疑問を抱き、あきらめない情熱を持ち、ミスから学ぶ姿勢です。きょう私をインタビューしているあなたたちは、その要素をすでに持っていますよ」。記者たちは、大きな空に羽ばたくための小さな自信を分けてもらいました。(構成・宮崎厚志)

組み立て中の「MRJ90」=同町のMRJ最終組立工場で(三菱航空機提供)

<これまでの歩み>
2001年 イタリアのピサ大学で航空宇宙工学の学位を取得
  02年 フェラーリ社のエンジニアとなり空気力学を担当
  03年 アメリカのカンザス大学で航空宇宙局(NASA)が後援したプロジェクトに関わる。以後、カナダのボンバルディア社などで航空機開発を担当
  16年 三菱航空機入社。翌年技術本部機体設計部長となる
<ビアンキさんから>
航空機開発エンジニアには興味のある分野、例えば航空工学や電気工学などの学位が必要で、国によっては資格も要します。ただ、営業やマーケティング部門の人も要るので、いろいろなチャンスがあるでしょう。
<2018年10月21日掲載>

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