ペットロボット開発者 SONY 森田拓磨さん(「空飛ぶクルマ開発」関連)

2020年1月11日 15時24分 (10月6日 12時36分更新)

aiboへの愛情たっぷりに説明する森田拓磨さん=東京都港区のソニー本社で

 現代社会で急速に普及しているロボットに、心を持たせることはできるのでしょうか? そんな難題に挑んだ製品が、1月にソニーが発売した新型ペットロボット「aibo」です。こども記者たちは、東京のソニー本社で開発現場を特別に取材させてもらいました。

森田さん(右から2人目)と上林さん(右)を取材するこども記者たち

「心」を持つ製品 AIで挑む

 ウーンと伸びをして頭をブルブル。目を覚ましたaiboは、つぶらな瞳で記者たちを見つけ「ワンッ!!」と一声鳴きました。「かわいいー!!」と一同心をつかまれます。その様子に人工知能(AI)をプログラミングした森田拓磨さん(40)は、犬らしい動きを実現させたメカ制御担当の上林英紀さん(34)と一緒にニンマリ。「値段は19万8000円ですけど、決して高くない!!」と胸を張りました。
 高校時代にロボットとAIに興味を持った森田さん。大学生だった1999年にソニーが初代「AIBO」を発売し、飼い主との触れ合いで成長する革新的な製品に憧れがふくらみました。しかし入社間もない2006年に生産終了に。森田さんはカメラ部門で経験を積みます。16年、再びペットロボット開発が検討され、森田さんも念願かなってその部門に異動。同年夏からaiboの開発が本格的に始まりました。
 社内でも極秘のプロジェクトは、地道な作業の繰り返しでした。プログラムを作っては夜通しロボットを撮影して行動を観察し、エラーの原因を探します。特に難しかったのは、ペットとしてかわいがられる性能の加減。「言うことを聞かなければバカだと言われ、聞きすぎてもつまらないと言われる」と頭を抱えました。ようやくできた試作機を家に持ち帰ると、5歳の息子は「犬だ!! かわいい」と大喜び。「子どもに感動してもらえるものを作りたかった」という夢がかなったと感じた瞬間でした。

aiboの鼻に内蔵されたカメラの画像に映るこども記者たち

地道な作業で“成長”実現

 aiboは成長し続けます。センサーやカメラで得た情報をインターネット上で集積し、他のaiboとも共有。これを基に行動が変化していくため、開発者にも想定外の動きを見せます。森田さんらは発売後も常にaiboを観察し、不具合に対応し、新たな動きをプログラミングして大忙しです。そんな現場に特別に入れてもらいました。aiboが見ているこども記者たちの姿がパソコンの画面に表示され、みんな興味津々でのぞき込みました。
 取材は近未来の人間とロボットの関係にまで及びました。そこで教わった言葉が「シンギュラリティ」。AIの能力が加速度的に発達して人間と逆転し、制御できなくなる転換点のことです。そんな未来に人間がロボットに滅ぼされないためには? 「対立ではなく協調できるように、人間の心とか愛って何か、真剣に考えていくことだと思う」と森田さん。aiboのようなロボットが、人類の未来を左右するかもしれないのです。(構成・宮崎厚志)

つぶらな瞳で人間を見つめるaibo

<これまでの歩み>
2001年 大学院で情報理工学を専攻し、ロボットを研究
  03年 ソニー入社。ハードディスクレコーダー部門に配属
  07年 デジタルカメラ部門に異動
  16年 aibo開発部署に異動
  18年 1月11日にaibo発売。7月に出荷2万台を達成
 <森田さんから>
 ロボットは天才エンジニアじゃなく、平凡な頭脳の人たちが集まって汗水たらして作っています。だから、好きかどうかが一番大事。好きなものが見つかったら一生懸命追い続けてほしい。
<2018年9月9日掲載>

関連キーワード

PR情報

お仕事ファイルの新着

記事一覧