ユニセフの駐在員 物流・物資調達専門官 竹友有二さん(「東京2020組織委員会」関連)

2020年2月29日 00時00分 (10月6日 13時07分更新)

イラクの難民キャンプで話をする竹友さん(日本ユニセフ提供)

 世界には、戦争や災害、貧困などによって、清潔で健康的な生活や学習が困難な状況にある児童がたくさんいます。そうした子どもたちを支援する機関が国連児童基金です。イラクの事務所に駐在し、物流・物資調達専門官として働く竹友有二さん(53)を、中学生記者が取材しました。

困難の中 子どもたちに支え

 ユニセフの日本での活動拠点は、東京都港区にあるユニセフハウス。竹友さんは、戦地をくぐり抜けていた経歴を感じさせないほど、和やかに迎えてくれました。
 アラブ人のソウルフードであるデーツしたナツメヤシの実)をみんなでかじり、イラクの事務所にいるスタッフとネット通話での会話を披露するなど、現地の雰囲気を感じながらの取材となりました。
 世界中から集まる寄付によって活動するユニセフ。その使命は、すべての子どもが健康に成長して学校で勉強し、自分の力を伸ばして生きていけるようにすることです。
 それが難しい場所が、世界にはたくさんあります。イラクもその一つ。二〇〇三年のイラク戦争以降、混乱が続き、北部の都市モスルは武装した過激派組織ISILの拠点となっていました。最近は隣国シリアからの避難民や水害によって家を失った人も多く、難民は二百万人以上と言われています。

物資調達 紛争地でも活動

 竹友さんは物流・物資調達専門官として、難民キャンプに安全な水や学用品、ワクチン、建築資材などの物資を届けます。重要なのは量とタイミングで、適正な値段と品質のものを用意すること。綿密な下調べをもとに、複数の業者が内容と値段を提示する入札を厳格に仕切ります。「無駄なく早く届けるには、一人ではできない。卸売業者や運送業者などとのコミュニケーションが大事です」
 国連機関で働くには、どうしたらいいでしょうか。日本人の場合、外務省による「JPO派遣制度」などを利用して経験を積み、正規職員となるのが一般的ですが、竹友さんの場合は違いました。海外でのボランティア活動中に実力を買われて採用され、複数の国連機関で働くうちに、物資調達のスペシャリストになったそうです。
 家族を日本に残し、イラクで働く竹友さん。根底にあるのは、平和を願う気持ちです。ユニセフは難民キャンプに学校をつくり、ISILに徴兵された元兵士が社会になじめるように、理容師や電気技師になるための訓練もします。
 「誰が悪いのかを曖昧にすることも平和をつくり出す一つのやり方。ユニセフは憎しみの連鎖を断ち切るお手伝いができます」。竹友さんが放つ意志の力に、記者たちは強く揺さぶられました。(構成・宮崎厚志)
    ◇
<竹友さんから>
 国連機関の仕事は、文化も言葉も違う人たちがコミュニケーションを取りながら一つの目的に向かっていきます。私は群れないタイプでしたが、中学生の時はいろんな人に会い、生涯付き合っていけるような友達や話し相手をつくってください。
<これまでの歩み>
1989年 大学卒業後、ニュージーランドに留学
  91年 湾岸戦争中にヨルダンの難民キャンプでボランティア活動に参加。複数の国連機関で緊急支援活動に携わる
  99年 ユニセフの物流・物資調達専門官に就任。タンザニアやイラク、スーダン、ソマリア、アフガニスタン、イエメンなどの紛争地帯で活動
2018年 イラク事務所に15年ぶりに再着任

竹友有二さんと一緒に、インターネットを使ってイラクの現地スタッフと会話する中学生記者たち=東京都港区のユニセフハウスで

現地で持ち歩くユニセフの職員証や予防接種の証明書など

2017年7月、空爆で破壊された街を子どもを抱いて歩く母親=イラク北部のモスルで

イラクの難民キャンプ内につくられた学校に通う子どもたち

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