地域おこし協力隊 愛知県東栄町 福田美幸さん(「東京2020組織委員会」関連)

2020年2月29日 00時00分 (10月6日 13時05分更新)

地域おこし協力隊として手作りコスメ体験を提供する福田美幸さん=愛知県東栄町ののき山学校で

 地域おこし協力隊を知っていますか? 少子高齢化が進む地方の市町村で臨時の公務員となり、地域おこしを手伝う人たちのこと。昨年は全国で5000人以上が参加しました。今回、中学生記者たちは愛知県東栄町で活動する福田美幸さん(48)を取材。「場所」にこだわった自分らしい働き方を考えました。

外からの視点 役立てる

 2009年、過疎化が進む地方を活性化しようと、総務省が創設した地域おこし協力隊。年々広がり、約6割が3年の任期終了後もそのまま定住しています。一方で、地域おこしの方法も参加者の動機もいろいろ。ただ田舎に暮らしたいだけの人、アルバイト感覚の人、自分の思いだけで突っ走ってしまう人など、うまくいかなかった例もたくさんあるそうです。
 福田さんの場合は、前任者が始めた「手作りコスメ体験事業」を継いでくれる人という東栄町の募集を知ったことが志望動機。もともと無添加のせっけんなどに興味があって、やりたい仕事と町がやってほしい仕事が合ったのです。町の観光まちづくり協会の一員として地元のPRや何かをやってみたいという町民のサポートもします。
 「地域を活性化するには、魅力を見つけて生かすことが大切。観光資源にもなるのに地元の人が気付いていない場合もあり、協力隊の視点が役立ちます」と福田さん。町には「セリサイト」というファンデーションなどの材料になる鉱物を、日本で唯一産出しているという魅力がありました。それを観光に活用するアイデアと担い手を、協力隊が補いました。

魅力見つけ自分の生き方に

 セリサイトの採掘現場まで、記者たちも入らせてもらいました。白い粘土状の鉱物は、精製すると片栗粉のような細かい粒子になります。廃校を利用した町の情報発信拠点「のき山学校」に移動し、ボディーパウダー作りにも挑戦。この鉱山探検とコスメ作りが福田さんの手掛ける「ビューティーツーリズム」。屋号の「naori」とともに商標登録しブランド化しました。
 福田さんは生まれも育ちも東京です。一度は大手企業に就職し、女性社員の働き方に疑問を感じて退職。その後海外も含めてさまざまな職を経験し、見えてきたのが、自分が生きたいと思う場所でした。東京にいると情報に囲まれ忙しく、「これ本当に私に必要なのかな?」と立ち止まることも。顔の見える範囲の人と接するシンプルな田舎の暮らしに魅力を感じました。
 来年3月までの任期を終えても町に住み、蜂蜜やハーブ、日本酒など地元の産物を使ったせっけん作りの教室を開き販売もする計画です。「私の協力隊卒業後を町のみんなが心配してくれます」。そう笑う表情に、不安はまったく感じられませんでした。(構成・宮崎厚志)
    ◇
<これまでの歩み>
1991年 美術の短大を卒業後、東京で乳製品を扱う大手企業に就職
  95年 退職し、オーストラリアで1年過ごした後、英会話学校の講師に
  97年 東京で外資系企業に就職
2004年 東京で一般企業に就職
  17年 地域おこし協力隊として愛知県東栄町に赴任
<福田さんから>
 今の時代は、働き方も生き方もいろいろ。都会や日本だけに収まらず、いろんな文化を吸収して自分なりに大切なものを見つけてほしい。協力隊として田舎で暮らすなら、地域の人たちに寄り添って活動していくことがマナーなんじゃないかな。

町の観光スポットが描かれた観光まちづくり協会の壁=のき山学校で

福田さんに教わりながらコスメ作りをする中学生記者たち=のき山学校で

セリサイト鉱山を見学する中学生記者たち=愛知県東栄町の三信鉱工で

粘土状で採掘されるセリサイト

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