食品開発技術者 ミツカン 竹村浩さん(「和食料理人」関連)

2020年2月15日 00時00分 (10月6日 12時59分更新)

納豆の出来を確認する竹村浩さん=愛知県半田市のミツカンで

 蒸した大豆に納豆菌を振り掛け、発酵後に糸を引かせる納豆。おいしい商品を作るため、企業で研究を続ける開発技術者がいます。7月10日の「納豆の日」を前に、中学生記者が、その仕事に迫りました。

納豆菌探し粘り強く

 中学生記者たちが訪れたのは愛知県半田市の大手食品メーカー、ミツカン。納豆研究の第一人者で、商品開発に携わるMD(マーチャンダイジング、商品化計画)本部開発技術部の竹村浩さん(54)が迎えてくれました。
 大事な仕事の一つが、月一回の品質検査です。竹村さんは、納豆の詰まったパックを開けると、まず豆の色や形など中身を目で確認。はしで三十回ほど納豆をかき回した後、真剣なまなざしで糸引きの強さを見て、最後に口に含みました。
 固唾をのんで見守る中学生記者たちを前に、「硬さも味もまあまあ。いい感じに仕上がっていますね」。出来栄えに太鼓判を押しました。
 開発技術者は、マーケッターと呼ばれる商品企画担当者と組んで仕事をします。社内の研究部門で新しい納豆菌が発見されると、それを使って、栄養面や味などでより質の高い商品を作ろうと研究を重ねるのです。
 糸を引かなかったり、発酵しなかったりで、大半の菌は使えないそうです。臭いを大幅に抑えた商品「におわなっとう」を開発するために必要だった一つの菌を、竹村さんは二万種もの菌の中から探し出したこともあります。

栄養や味 研究重ね商品化

 やっと試作品ができると、職場の仲間や手の空いている人ら三十人ほどで試食。粘りけや風味、うまみ、豆の硬さ、食感などを確かめます。お客さんの要望も、添えるたれの味などに取り入れます。
 こうした地道な作業を重ねても、「多くの商品は二、三年で消えます」と、竹村さんは厳しい現実を語ります。お客さんの好みが多様化する中で、よほど個性のある商品でなければ残らないのです。このため、常に新商品を作ったり、店頭に並ぶ商品を改良したりしなくてはなりません。
 「仕事のきっかけは何だったのでしょう?」。中学生記者が尋ねました。
 竹村さんは大阪大と同大大学院で植物の発酵工学を研究。ミツカンに入社後、酢をつくる酢酸菌を八年間担当した後に、社内に新しくできた納豆開発の部署に移りました。「酢酸菌が発酵までに数日かかるのに対し、納豆菌は一日で成長する。面白そう」と感じたそうです。
 次なる商品化に尽力する竹村さん。「より特徴のある、おいしい納豆を作っていきたいですね」と挑戦を続けます。
<これまでの歩み>
1988年 ミツカン入社
  96年 中央研究所で納豆菌の開発に携わる
2014年 MD本部開発技術部で、主に商品開発に関わる
<竹村さんから>
 企業では大学と違い、商品の開発や売り上げという目的が決まっている中で研究をします。できた商品がスーパーで並ぶのを見ると、うれしくなります。
<2017年6月25日掲載>

地道な作業を重ねて開発された商品=愛知県半田市のミツカンで

顕微鏡で見た納豆菌(ミツカン提供)

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