羽生結弦 圧勝で北京五輪への切符決定 4回転半不発も「今の自分にとっては妥協できるところかな」【フィギュア】
2021年12月26日 23時10分
◇26日 フィギュアスケート全日本選手権 男子フリー(さいたまスーパーアリーナ)
冬季五輪2連覇中で、ショートプログラム(SP)首位の羽生結弦(27)=ANA=がフリーで211・05点をマークする異次元の演技。合計322・36点で2年連続6度目の全日本王者に輝き、北京五輪出場を決めた。
◇
大勢の観客が詰めかけた会場を見渡し、羽生は演技直前の6分間練習で泣きそうだった。
「あと何回、この景色を見られるのだろう」
人類史上初のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に競技人生を懸けて挑んでいる。回転と高さから生まれる大きなエネルギー。着氷する右足への負荷は計り知れない。それでも成功させたい。
演技を初めて18秒。跳んだ。回転を満たす着氷はできなかったが、転倒はしなかった。「試合の中であれだけできたら、今の自分にとっては妥協できるところかな。悔しいけど」
シーズン終盤、羽生は公式戦の練習で習得中のジャンプを披露することがある。次のシーズンへの決意表明とも受け取れる合図だ。4月の世界国別対抗戦のエキシビションの練習中、やおら4回転半に挑み始める。転倒しては体を氷上にたたきつけ、鈍い音を会場に響かせた。
「試合の場所でやることに意義があるし、刺激がある。上手な人の中でやった方がイメージが固まりやすい」
強い決意を持ってこの2年間、4回転半のために時間を費やしてきた。今季グランプリ(GP)シリーズ・NHK杯の直前にやっと転倒せず、立てるレベルにたどり着いた。その2日後に右足首を捻挫し、GPシリーズ2戦を欠場した。それからストレスによる食道炎を患った。
「やめちゃおうかな」。そんな思いにも駆られた。描いていた成功計画から大幅に遅れ、限界も感じていたという。「頭を打って脳振とうになって、死んじゃうかなというぐらい練習してきた」。それでも前に進むことを選んだ。
「自分のためはもちろんあるけど、皆さんのためにもかなえてあげたい」
フリーの演目「天と地と」は4回転半を入れるつもりで作り上げた。「アクセルが入ると全然印象が変わるので、そういった意味でもこの子を完成させたいなという気持ちはある」。作品を慈しむように「この子」と呼ぶ羽生は、自身が8カ月前に語った言葉を忘れていないはずだ。北京五輪、その先にある世界選手権。「天と地と」を最高傑作に仕上げる挑戦が続く。
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