街の喫茶店惜しまれ閉店 キルトカフェの中島さん
2021年12月26日 05時00分 (12月26日 11時58分更新)
福井駅西三角地帯
JR福井駅西口の通称「三角地帯」で、人々の憩いの場となっていた喫茶店「キルトカフェ」が、二十五日の営業を最後に看板を下ろした。多くの常連が最終日も訪れ、慣れ親しんだ場所に別れを告げた。店主の中島千鶴子さん(68)は「新型コロナで営業自粛となった際に一度閉めようと思っていたが、やめないで欲しいという声に励まされ、ほそぼそながらも続けてこられた」と感謝した。 (曽根智貴)
長く続けてこられ感謝
間接照明で照らされた落ち着いた雰囲気の店内に、中島さんがパッチワークで作ったタペストリーやクッションが並ぶ。アットホームな空間で談笑は絶えない。「職場が近い」「(店前にある)バス亭の待ち時間として入った」。初めて訪れる理由はさまざまだが、中島さんや他の客とのおしゃべりを楽しみに通い出した人も多い。
二〇〇二(平成十四)年に娘二人が創業した店を十五年ほど前に引き継ぎ、切り盛りしてきた。ケーキやランチなどのメニューにインスタント食品は一切使わず、無農薬の食材にこだわってきた。東京・銀座にある老舗から取り寄せる豆でいれたコーヒーはおいしいと評判で、「ここ以外では飲まない」という常連客もいる。
閉店は三角地帯の西側「駅前電車通り北地区B街区」の再開発計画に伴うもの。中島さんは「やめたい時もあったが、ここを離れるぎりぎりまで続けようと思った。いろいろな意味で肩の荷が下りた」と胸の内を明かす。娘の森本早苗さん(41)は「たくさんの人がこの店でゆっくりしてくれたと思う。お疲れさま」とねぎらった。
週に二回ほど通っていた福井市の女性は「癒やしの場所。ゆっくりコーヒーを飲めるところがなくなる」と寂しそうに話していた。
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