<私の自信作> 紙の中、泳ぎ回る金魚 河村典久さん(79)犬山市惣作
2021年12月26日 05時00分 (12月26日 11時11分更新)
水彩絵の具で魚の姿を紙に写し取り、その動きを表現する「魚拓画(拓画)」を三十代の頃から続けています。
魚拓は釣り上げた証しを墨で残すもので、魚を横からしか写しませんが、拓画の表現、角度は自由。本来の魚と全く違った色の絵になってもいい。その魚は襲われているのか、餌を見つけたのか、恋をしているのか。立体的に見せ、作者の意図がにじむ作品をいかに作るかというところに魅力があります。
私の自信作は、金魚を使ったこの作品です。一九九三年に作り「水中華」と名付けました。リュウキンという品種の金魚十匹を紙の中に泳がせ、空間を自由に泳ぎ回る姿を表現しました。
金魚の拓画は難しく、やる人は少ないんですよ。コイなんかと違ってボールのように丸っこいでしょ。紙にそれを魚として表現するのは非常に難しい。右上の赤い一匹なんかは、こちらを向いて泳いでいるように見えると思います。
実際のリュウキンは朱色のような赤でしたが、対比のため黒を交ぜました。赤と黒の配置は三角構図を取り入れています。金魚の拓画が取れたのは「なんとか技術を自分のものにしたい」と入れ込んだ結果だと思っています。
元は県職員でした。気分転換に釣りを始...
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