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和歌山産「山田みかん」西濃地域で販売半世紀 競り人・松田さんがブランド化に尽力

2021年12月26日 05時00分 (12月26日 05時01分更新)

自身がブランド化に尽力した山田みかんを手にする松田さん=大垣市公設地方卸売市場で

 冬の青果店やスーパーマーケットの店頭を彩る「山田みかん」。和歌山県産ながら西濃地域のみで販売され、全国的に珍しい地域ブランドに成長した。その背景には、大垣市公設地方卸売市場の卸売会社「大垣水産青果」の競り人、松田徳亮さん(83)=大垣市外渕=の尽力があった。(芝野享平)
 イオン大垣店(大垣市外野、イオンモール大垣内)の青果売り場。各地のみかんが並ぶ中、最も広いスペースを占めるのが山田みかんだ。昨季は三月ごろまで販売し、担当者は「普段は袋売りが多いが、年末年始には三~十キロの箱売りもよく出る」と話す。
 和歌山県湯浅町の山田地区で栽培される山田みかんは、日当たりの良い海沿いで育ち、甘さと味の濃さが特徴。「有田みかん」の一つとして扱われていたが、大垣市場が開設された一九七四(昭和四十九)年、青果を担当していた松田さんが「他の有田みかんよりおいしい」とほれ込み、現地へ向かった。
 それまで個人農家が農協を通じて出荷していたが、松田さんは山田地区のみかんだけを集める仕組みづくりを提案。翌七五年、生産者十九軒でつくる「山田出荷組合」が結成され、大垣への出荷が始まった。
 厳しく選果し、傷のない物だけを「山田みかん」の名で出荷。頑丈かつ高級感のある見た目の化粧箱を作り、手作業で丁寧に詰めることで傷みにくく日持ちするという特長も加えた。価格は他のみかんより三割ほど高く設定したが、味の良さや実の美しさで評判になり、定番品に成長した。
 スーパーなど大規模な量販店が存在感を増していたが、量販店が扱うようになれば、一店舗が入荷をやめると商品が大量に余ることになったり、買いたたかれてブランド価値が落ちたりすることを懸念した松田さん。小規模な青果店にのみ卸すことで山田みかんのブランドを守りつつ、量販店に押されながら個人で営業を続ける青果店にも寄り添った。現在は松田さんや生産者の意向に賛同した一部の量販店も販売している。

店頭に並ぶ山田みかん=大垣市外野のイオン大垣店で


 山田みかんとの出合いから半世紀近くがたつ。松田さんは「定年の六十五歳でやめるつもりだったが、組合から『やめるなら出荷しない』と言われた」。西濃地域に山田みかんを定着させた松田さんと生産者の信頼関係は厚いが、高齢の松田さんの後継者として、大垣市場顧問で青果仲卸「カネ井青果」(岐阜市)の長谷川貴之さん(50)が引き継ぐことになった。
 カネ井青果は、JR岐阜駅前や名古屋・栄の地下街「セントラルパーク」に置く直営店でも山田みかんを販売。西濃地域から販路を広げつつあるが、長谷川さんは「大垣の市場へ供給を続けることが自分の任務。産地や松田さんの思いを受け継ぎたい」と話す。

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