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<みかわのブランド食材> (24)渥美プレミアムラスサーモン(田原市)

2021年12月20日 05時00分 (12月20日 16時41分更新)
プレミアムラスサーモンを手にする林社長=田原市伊川津町の林養魚で

プレミアムラスサーモンを手にする林社長=田原市伊川津町の林養魚で

  • プレミアムラスサーモンを手にする林社長=田原市伊川津町の林養魚で
  • 最新鋭の技術が投入された養殖設備。水槽は六つあり、左の機械で不純物を除去する=田原市伊川津町の林養魚で
 ぷるぷるした艶やかな赤い身を箸でつまみ、口にすると、意外にも歯応えがあった。脂っこさや魚特有の臭みもなく、すっきりとした爽やかな味わいが特徴。田原市伊川津町で「渥美プレミアムラス(RAS)サーモン」と名付けたニジマスを養殖する「林養魚」の林邦康社長(47)は「ストレスをかけないことで、健康でおいしい魚が育っている」と手応えを感じている。
 林養魚は、地下の海水をくみ上げた陸上でのサーモン養殖という全国的にも珍しい手法に取り組む。RASは「循環ろ過養殖システム」を意味する英語の頭文字。屋内にある高さ三メートル、直径九メートルの水槽で、高濃度の酸素水を加えながら、コンピューターで水質を管理している。
 親会社は福島県西郷村で戦前から続く養殖業の大手。だが二〇一一年の東日本大震災の原発事故による風評被害でサーモンなどの注文はぱったり止まった。起死回生のためのヒントを求めて、林社長は同年十一月、世界的に需要の高いノルウェーに渡った。そこで目にしたのは、ありえないほどの高密度で泳ぎ回っているサーモンだった。林社長は「一匹も死んでいなかった。日本は世界から完全に遅れている」と衝撃を受け、その場で同じシステムの導入を決めた。
 新設する場所は、以前から「地下海水の水質が良い」と注目していた田原市にした。サケマス類は冷たい水を好む。このため水温が二〇度以上になる夏場は弱ってしまうため、通年養殖が難しいとされていた。だが、この地域でくみ上げられる地下海水は年間を通じて一七度ほど。安定した出荷が可能と判断した。
 一五年十二月、海から六百メートル離れた内陸に、屋内型の養殖プラントが完成。福島の親会社でふ化させたニジマスをトラックで搬入し、半年から一年かけて育てる。特別に配合されたエサを与えるほか、水中に残ったエサ、ふん尿やアンモニアはマイクロフィルターで除去。魚がストレスなく、伸び伸びと泳げる環境となり、通常より早く成長するという。
 塩害で設備がさびるトラブルがあったほか、コンピューターの維持管理など悩みは尽きない。それでも一つ一つ解決しながら、高い品質を保ってきた。「国内で流通するサーモンの九割以上が輸入品。同じシステムを普及させ、日本の食料安全保障につなげたい」と意気込む林社長。渥美半島発のサーモンが外国産に代わり、日本のすし店と食卓を席巻する日を待ちわびている。
 (昆野夏子)

 渥美プレミアムラスサーモン 地下海水をくみ上げ、循環ろ過養殖プラントで育てる養殖サーモン。無菌状態で成長し、薬品なども使用していない。2016年10月から通年出荷しており、年間120トンほど。東三河や名古屋市などの飲食店で提供されるほか、スーパーでも販売している。(問)林養魚=0531(32)0466

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