例年と様相が違った最終予選会…背景には会場のアラバマ州と日系企業の『密接関係』【武川玲子コラム】
2021年12月14日 17時33分
古江彩佳7位、渋野日向子が20位で突破した米女子ツアーの最終予選会は過酷な戦いだった。2週間にわたる計8ラウンドの長丁場。来季の出場権が懸かる重圧に加え、雷雨、霧、強風に寒さと日々変わる天候が選手を一層苦しめた。
華やかなツアー会場とはまるで違う。コースにロープは張られず、選手の緊張感がひしひしと伝わってくる。ギャラリーは家族やコーチが選手と同じように緊張した面持ちでついて回るぐらいだ。ずいぶん前だが、ジャック・ニクラウス(米国)の息子が挑戦した際もニクラウス夫妻は黙って見守っていた。
しかし今年は様相が違った。渋野を応援しようと日本からファンが駆けつけた。会場のアラバマ州には日系自動車メーカーが複数ある事情もあり、ギャラリーは日を追うごとに増えた。最終日は40人に膨れあがり、毎ショットに声援が飛んだ。
苦しみながらも出場権を手に入れ、最後は満面の笑みを見せた渋野は「ちょっと恥ずかしい」と照れながらも「本当に声援が力になった」と感謝した。ほぼ毎日、ラウンド後はファンにサイン、記念撮影と丁寧に対応していた。
過去にこれほど注目を集めた最終予選会といえば2005年を思い出す。取材陣だけでも総勢50人以上が宮里藍さんの一挙手一投足を追い、米国でも大きな話題となった。08年はミシェル・ウィー(米国)。それまで男子ツアーなどでプレーしていたウィーが女子ツアーに専念することになり、会場には観客席も作られた。
重圧の中、23歳の渋野、21歳の古江はともに最後まで自然体で戦ったことが印象的だった。悔しさもうれしさも感情をあらわにする渋野に対し、古江は何にも動じず淡々とプレーする。タイプの異なる2人が本格的に参戦する来季の米女子ツアー。畑岡奈紗、笹生優花とともに日本勢が大活躍する予感がする。(全米ゴルフ記者協会会員)
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