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義理人情のイチローさん 敗軍の将のラブコールに応え高松商で球児指導「まずは甘い球を…」

2021年12月12日 17時00分

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高松商業高校の指導に訪れ、打撃を披露するイチローさん=12日午後、高松市(共同通信代表撮影)

高松商業高校の指導に訪れ、打撃を披露するイチローさん=12日午後、高松市(共同通信代表撮影)

 元大リーグ・マリナーズのイチローさん(48)=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター=が12日、高松市のレクザムスタジアムで香川・高松商の野球部員を指導した。今年3校目の訪問先となった同校は、今夏の甲子園大会に出場。イチローさんが昨冬に指導した智弁和歌山高に敗れ、長尾健司監督が「ウチにも来てほしい」と話していた。
     ◇
 クールなイメージとは裏腹の義理人情を示した。今年3校目となったイチローさんの高校球児指導。選んだのは高松商だった。理由は敗軍の将からのラブコールだ。
 今夏の甲子園大会、智弁和歌山に敗れた同校の長尾監督の談話がメディアで取り上げられた。イチローさんに「ウチにも来てほしい」というもの。智弁和歌山は昨年冬、イチローさんに指導を受けて話題に。そこから力を伸ばし、夏の甲子園を制した。大会途中、イチロー効果を実感した長尾監督の発言がきっかけとなり、真意と思いが伝えられた。真正面から受け止めたイチローさんが今回の訪問を決めた。
 11日から2日間の指導。これまでと同じようにランニング、キャッチボール、打撃など選手と一緒に動きながら、見せて、教えた。
 シート打撃では、それぞれの現状に応じた助言を送った。ある選手にこう伝えた。
 「2ストライクよりも、まずは甘い球を打って。段階を踏みながら。自分の形でどうやって持っていくか。やさしいところから始めて。追い込まれて難しい球を打つことだけじゃない。捉えられるようになって、次に難しい球を打つ」
 11月に国学院久我山の野球部を指導したときには、追い込まれても簡単にアウトにならない技術の意味を説く場面もあった。ただ、これは高度なテクニック。まずは「やさしいところ」へと意識を導いた。
 フリー打撃実演では、打ち始めの右に切れていくファウルの打球に「あれが真っすぐいくと、僕はOK。あれがフックしているのは、僕の形はできていない」とバロメーターを解説しながら、フルスイングを見せた。
 「全力で振るので疲れます。バッティング練習も全力で(振って)いい形を目指しています。疲れます」
 練習の一振りへのこだわりを示し、休むことなく振った。「バテてから、ここから形を崩さずに振るのが大事」。熱い53スイング。見詰めた選手たちは「えぐい」「やばい」と驚き、柵越えアーチには「きれい」の声が上がった。
 年内の指導は今回で終了。今後も時間が許す限り、一緒に動き、プレーを見せることで高校生の野球への情熱に向き合っていく。
 ▼甲子園で「イチロー効果」証言 高松商の長尾監督は今夏の甲子園3回戦で智弁和歌山に敗れた試合後、すぐに「うちにもイチローさんに来てほしい」と語った。イチローさんが指導する直前だった昨年11月に智弁和歌山と練習試合をして、その時は0―1の僅差で敗れたという。夏には3―5で負け。相手の成長を肌で感じ、「イチローさんに教えていただいて強くなって、やる気が出たんだと思う」と話していた。

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