グランパスが常勝クラブになるために必要なこと 勝利の哲学を受け継げるか【J1名古屋2021総括】
2021年12月11日 07時34分
◇悲願から常勝へ〈下〉
グランパスで9クラブ目となる「通算3冠」に要した時間は、最長となる26年。「これを機に名古屋が強くなっていくことを願うというか、僕がそうしたい」とは、DF中谷の弁だ。グランパスは本来、常にタイトルを争い続けるべきクラブだとの思いは、選手らの言葉から幾度となくにじんだ。
今季のルヴァン杯には「初優勝」のほかに、もう1つ初めてのことがある。「ピクシー」ことドラガン・ストイコビッチが選手、監督としてクラブに在籍しない状態で獲得した、初めてのタイトル。クラブ最大のレジェンドが去ってから、8年がたつ。強豪クラブとなるための分かれ道が今、ここに来ている。
「常勝」と呼ばれるクラブには、揺らぐことのない哲学がある。スペインの名門バルセロナは選手・監督として活躍したヨハン・クライフの哲学に基づき、下部組織でそれをたたき込む。グアルディオラ(現マンチェスター・シティ監督)やシャビ(現バルセロナ監督)を経て、現在はブスケツ、ピケ。常に下部組織出身の選手が主力として、変わらぬコンセプトを担う。
Jリーグ最多タイトルを誇る鹿島も、例に漏れない。「神様」ジーコがもたらし、こだわり続けてきた勝利の哲学。ユース、あるいは高校サッカーから獲得した選手を育て、中軸として受け継ぐ伝統がある。
1月、山口素弘執行役員フットボール統括がゼネラルマネジャー(GM)に就任。9月にはU―18所属のDF吉田温、MF甲田、FW豊田のトップチーム昇格内定を発表した。アカデミーの試合取材に赴くと、山口GMの姿を見かけることもしばしば。育成に対し、強い意識を持っていることがうかがえる。
結果を求めながら「グランパスのサッカー」を突き詰め、体現する主軸の誕生。それを脈々と続いていく、DNAの継承。クラブの哲学を貫く長期的な目線の先に、常勝クラブへの道が開ける。
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